【vol.294】工場は博物館

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たまに、クライアントに別のクライアントをお連れしたりします。開発を進める中で、提携したり共同で開発する方がよいと思われるようなとき、ご一緒するのです。

ものづくりをしているクライアントなら、多くの場合、自社工場を持っておられますから、訪問するクライアントに工場見学をお勧めします。他分野企業の工場は、まさに、ものづくりの異業種交流の現場です。
先日も、クライアントの工場を見学する機会があったのですが、その時ふと、工場というのは博物館ではないかと思ったのです。

博物館とは、歴史や芸術、民族、産業、自然科学等に関する資料を収集して展示しているところですが、まさに工場は、その企業の歴史と社員、ものづくりとその為の技術などを見ることが出来るのです。勿論、工場の現場で働いている人は、工場は展示物ではないと仰るでしょうが、見る者の意識や視点をちょっと変えれば、博物館と言えるのです。

そんな気付きがあり、以後、工場を見学させて頂くときは、その企業の歴史や社員の方々の想い、技術、ものづくりの変遷がどうなって来たのかという、博物館に伺うのと同じ気持ちでお邪魔しています。

そうすると、驚くほどに、工場という所は、その企業のすべてが見える場所、つまり博物館であることが分ります。ロボットが並んで一見殺風景な感じの工場でも、裏や脇に回れば、社員の方の息遣いが感じられ、それまで、どのように改善・改良されて今に至ったか、それらを垣間見ることも出来るのです。

もっと深いところを観察すれば、その企業のノウハウが凝縮されていることも、直ぐに判ります。何気ない治工具が、さりげなく動いているのを見過ごしてしまうこともありますが、そのカタチになるまで、一体、どのくらいの汗と苦労があったのでしょうか。そんなことを考えると、涙が出そうになるときもあるのです。

さあ、工場に入りましょう。いや、入れて頂きましょう。普段ならお断りの工場でも、信頼関係をしっかりと構築すれば、きっとあなたを受け入れてくれる筈です。そして、ここはと思うところの勘所を教えてもらいましょう。教えてもらい、自社の工場の改善や改良に役立てましょう。

ところで、最近、水族館などが大きく変わったように思います。きっかけは、北海道旭川市の旭山動物園の展示が話題になり、全国各地の水族館や動物園のご担当が、訪問したり見学して、展示方法などを語り合い、活性化を図るセミナーなどを開催したということです。

このような事例をみると、まさに工場も同じこと。「工場ツアー」や「工場セミナー」があってもいいのかも知れません。
如何でしょうか、SI主催の見学ツアーやセミナーを企画しますので、皆さん、奮って参加してくださいね。これ、本気ですよ。