【Vol.223】五摂家は今

 五摂家というのをご存知かと思います。鎌倉時代に始まった、摂政・関白に任ぜられる家柄で、近衛、九条、二条、一条、鷹司(たかつかさ)家の総称で、鎌倉時代に成立した公家の家の格付け、つまり家格の頂点に立つ五家のことをいうのです。この五摂家、実は現代にもありまして、中でも、名古屋の五摂家が有名です。

 さすがに、現代の五摂家はお公家さんではなく、名門企業のことですが、名古屋の五摂家、あらためて復習しましょう。その、五つの企業とは、松坂屋、中部電力、名古屋鉄道、東海銀行、中日新聞なのですが、最近では中日新聞さんは外れて東邦ガスさんだとか、諸説あるようです。更には、東海銀行さんが三菱東京UFJ銀行に合併されたので、また中日新聞さんが入ったとか、まるで、野球殿堂みたいな感じです。いずれにしても名古屋地域の経済を牽引してきた名門企業であることに違いはありません。

 ここで、お気付きの方はお気付きでしょう、トヨタの名がありません。そうなんです、トヨタ自動車さんは、元々、名古屋五摂家には挙げられることなく、ずっと、その意味からは名門企業ではないとの扱いだったのです。
 しかし、トヨタ自動車さんが名古屋、いや中部地域、もっと言えばこの国の、いや世界的にも頂点に立つ企業であることを、多くの方が認識しているのは事実でして、なぜ五摂家に入っていないのか不思議な気がします。

 今回、お話したいのは、この五摂家に誰が入り誰が抜けて、とかいうことではなく、かつての鎌倉時代の五摂家も、今の名古屋の五摂家も、そのような地位がいつまでも続くことなど、在り得ないということを、今、改めて感じるからなのです。
 世界的に見てもそうではないでしょうか。かつての名門企業がいつの間にか消え、その末裔として、ささやかに名を残すのみ、そんな家柄を聞くことがあります。
あれだけ隆盛を誇り、あれだけの富を築いた名門・名家が、今はもうその名を残すのみ。いや、名前さえも消えてしまった名家や企業があると聞けば、如何に、そのような家格や社格など、今になってはあてにならならない、儚(はかな)いものと思うしかありません。
“驕る平家は久しからず”なんて言うつもりはありません。要は、何もしないでずっと名門であることは無い、と言いたいのです。

 そう思うと、身の回りには結構、そのような企業があることに気付きます。
最近では、老舗のケーキ屋さん、内部告発で不祥事が発覚し、ついには大手のパン屋さんに買収されてしまいましたし、地域の名門デパートも、次から次に閉店するのを見るにつけ、如何に、名門企業と言えども安泰ではないことを知るのです。
暗い話ばかりで恐縮ですが、先の名古屋の五摂家さんも、全てが磐石かと言われれば、必ずしもそうではないことは、皆さんもご承知のとおりです。

 申し上げたいのは、企業というものは、いつの時代も開発を進め、新しい道を探らない限り、その企業の存続は在り得ないということです。名門企業と言われた途端に、逆に、先行きが不透明になったと思うくらいに、積極的に開発をしないといけないのです。
何もしない企業は、衰退するのが当り前だということを、今、私達は肝に銘じなければいけません。改めて、先行きが不透明な時代、開発の重要性を考えた次第です。

 えっ、お前の会社は大丈夫かって? お陰さまで何とかなっていますよ。だって、開発しか出来ない会社ですからね。
 ♪きょ~うもか~いはつ、あすもか~いはつ、いつも、年がら年中う~、か~いはつ、か~いはつ♪ ですよ!(書きながら、ワケが分かりません。ははは)