【Vol.221】原価削減と改善の違い

 本当に厳しい状況になってきました。まさに、デフレの脅威が身に沁みます。何でもかんでも安くなって行く状況、買う立場の時には嬉しいのですが、よく考えれば、回りまわってのデフレスパイラル、誰にも利益は回りません。

 で、ものづくりをしている側は、とにかく、如何に安くものを作るか、そこに活路を見出したいのは人情、いや、それしかないとばかりに追い込まれているのが現状です。
 いやな言葉です、コスト、コスト、コスト。安くなければ買ってくれないと、つい、コスト削減と言うのは仕方ないにしても、本当に、削減でいいのでしょうか。言葉尻をあげつらっているのではありません。
 申し上げたいのは、「削減」ということで、本当にやって行けるのかということです。

 削減の意味、当り前ですが、削って減らすということです。鑢(ヤスリ)で削る、ナイフで削る、身を削る。この削る、何と痛い言葉でしょう。皆さんもお気付きでしょうが、削るという言葉を聞いて楽しくなることはありません。本当に文字通り、身を削る思いがするだけです。
 確かに、厳しい状況、しかもデフレなのでコストは重要なことですが、削減するのでは未来がありません。削って、削りまくって、そのあとに、一体何が残るのでしょうか。いくら削ってもずっと使える鉛筆なんてありません。削った先に在るものは、無なのです。

 さて、結果としてコストを下げながら、実は、利益も確保するやり方をしている企業があります。実に簡単、言い方を「コスト改善」としているのです。改善。削減と違って、文字通りコスト之中身を改善し、ムダやムリをなくして、結果、改善しようという活動です。
 昔(今も続いていますが)、カイゼン(改善運動)というのがありましたが、その考え方です。合理的に物事を再認識すると、今までとは違って組み立て時間や、かけるエネルギーが少なくなって、結果、コストを下げることにも繋がるカイゼン。その目的は、単にコストを下げることではなく、職場がより良くなることを、皆で目指したのです。

 先進国に、追いつき追い越せとばかりに頑張ってきた我が国の製造業。
 追い越してヤレヤレと思っていたら、今度は中国をはじめとする、外国勢に追い越されてしまい、これから、どうして巻き返すか。その方法が、単なるコスト削減だけでは、芸が無さ過ぎではないでしょうか。かつて、追い越した時の競争力は決してコストだけではなかったことを、今、ここで思い出そうではありませんか。
 競争力、この言葉の意味も、本当はより良くなることです。もっと速く、もっと高く、もっと遠くに、そう、競争力とは、抜きん出ることなのです。
 商品力や品質で抜きん出ていたものが、いつの間にか、「もっと安く」ばかりを言うようになってしまったのは、逆に言えば、ものづくりの原点である、商品力という競争力を忘れてしまったからではないでしょうか。
 商品力とは、付加価値の代名詞でもあります。価値があるというのは、安くしてくれと言うこととは違います。部品であろうと製品であろうと、付加価値のあるものづくり、もう一度、しっかりと踏ん張りましょう。今、改善こそが大切なのです。

 えっ、そう言うお前は何かしているのかですって? やってますよ、贅肉削減、おっと体形改善、です。そうなんです、やってるんですよメタボ対策。でもね、美味しいお酒やお料理を頂く機会が多くて、ナカナカ上手く行きません。
 本当は、お酒、好きじゃないんですよ。誘わないで~! なんちゃって…。