【Vol.32】「モジュール化の本質」その1

 最近、モジュール化という言葉をよく聞きます。
 モジュールとは、装置や機械・システムを構成する部品を機能的にまとめると言う意味で、私たちの身近なところでは、自動車部品や家電関連部品メーカー等で話題になっています。今まで、セットメーカーに対して、部品メーカーが其々の部品を個別に納入していたものを、機能ごとに集約・組み立てたユニットとして納入する、新しい部品調達方法です。
 こうなると、部品メーカーの納入先が、モジュール化の進め方によっては、従来からの納入先であるセットメーカーではなくなって、何の取引もなかった他の部品メーカーになる事もあります。取引関係がなければまだいいのですが、かつての競争相手だったりしたら最悪です。でも、セットメーカーはそんな事情はおかまいなしに、とにかく効率を追い求め、コストと納期を圧縮し、結果、自らの競争力を高めることに邁進しています。

 このように、セットメーカーが急速に推し進めるモジュール化の背景には、もう一つ大きなポイントが隠されています。それは「ビジネスの簡略化」とでも言えることで、単にコストやスピードだけではなく、ビジネス手法そのものを簡略にしようとする動きです。
 モジュール化を進めることによって、多数の取引先を集約して少数化することと、特に、歴史のある産業分野においては、「シガラミ的取引先」を整理することもでき、まさに一石二鳥の妙案となったのです。
 さて、モジュール化とは、製品を作っているメーカーにだけ関係する現象なのでしょうか。

 結論を言えば、あらゆる分野に及ぶ現象です。
 理由は簡単で、モジュール化とは「供給側と需要側の距離を縮める手法」だからです。もっと言えば、供給側と需要側の距離を、物理的・心理的に縮められる余地のある、あらゆる分野に共通した原理です。ビジネスにおいて、あらゆる場面に共通する原理であるならば、メーカーやサービス業は勿論、全ての企業に影響することでしょう。
 モジュール化。今、私がもっとも注視している現象です。