【Vol.240】牛乳びんのフタ(その2)

 出会った人は、ビジネス・プロデューサー養成講座の受講生です。いつものように、講座の後の飲み会で、何気ない会話の中で、私の人生の転機について話したときのことでした。(その1)で書いた私の人生、最初の転機、その話をした後で、その人が、自分も同じように、子供のころは牛乳びんのフタで遊んんでいたというのです。勿論、同じ遊び方で、ルールも同じです。

 実は、私は牛乳びんのフタの話を、それまではしたことがありません。なぜなら、そもそも牛乳びんのフタなんぞで遊んでいたなんて、何かカッコ悪いじゃありませんか。メンコもあったのに、牛乳びんのフタなんて、余程、貧乏していたのかと思われるのも嫌でしたし、何より、そんなものを後生大事に持ち歩いていたなんて言えなかったのです。
 それが、同じ事をしていたと、私より二周りも若い人が言ったのです。しかも、その人が育った地域では、それが当たり前。そう、私が育った地域と同じことをしていたのでした。さすが、今では牛乳を宅配してくれる業者も少なくなり、子供たちの間では廃れてしまったようですが、牛乳びんのフタで遊ぶのは、どこにでもある遊びであると、あらためて確認した次第です。

 今回の牛乳びんのフタの話、それは、私にとっては人生の転機でしたが、その人と話すうち、昔の子供はいかに創意工夫して遊びを創り出していたか、そんな話になりました。
 思い起こせば、古くなって使えなくなった傘を貰った私は、傘の骨を外して、傘の布の先(骨の先端部)に糸を付け、パラシュート(落下傘)を作ったものでした。学校の屋上に登って、空に向けて、エイッと放り上げると、糸の先に括り付けた重しが下を向き、同時にパッと傘が開いて、落下傘のようにフワフワと落下するのが面白かったのです。
 また、空き缶にひもを付けて、それを踏むようにして遊ぶこともよくやりました。空き缶の高さだけ背が伸びたようになり、今思えば、それがどうしたという事ですが、ポッカポッカと歩くのが面白かったのです。

 牛乳びんのフタや落下傘、そして空き缶の下駄など、自分でつくった遊び道具は、私にとって何より大事な宝物でした。自分でつくり、自分で遊ぶ。玩具を買うおカネが有るとか無いとかの問題ではありません。自分でつくったもの、それが大事であったような気がします。
 牛乳びんのフタごときで大袈裟な、確かに、そう仰る方もおられましょう。しかし、当時も今も、自分でつくる喜びや、それを大切にするという思いにかわりはありません。
 牛乳びんのフタを大切にしていた人が、私以外にも居られたこと、そして、それが一般的であったこと。そんな牛乳びんのフタですが、私の人生の転機となるくらい、私にとって大事な大事なものであったことを、思い出したのです。

 くだらない話と、聞き流していただいて結構なのですが、くだらないのと逆に、牛乳びんのフタで人生が変わった私。それを思い出して、何か、嬉しい気持ちになったのです。 私、やはり変なのでしょうか。

 えっ、二つ目の転機は何かって? そのうちにお話ししましょうね。