【Vol.150】利益にもいろいろある

 開発を進めて行くと、得られる利益は何かという、最も基本的な命題にこたえなければならない場面に必ずブチ当たります。結局、企業における開発の目的とは、ビジネスを活性化してお金を得ることなんですが、そのときの開発の目的と活性化の意味を考えておかないと、後になって色々な問題が生ずる場合があるからです。
活性化とは、単純に会社が良くなることだと思っている人もいますし、社員の士気が上がればそれで良いと思う人もいます。お金のことで言えば、その多寡だけで判断する人もいますが、果たして、それだけなのでしょうか。
本当の利益とは何か、今回は企業が得るべき利益について考えてみました。

 いつも言いますが、継続するビジネスは強いものです。顧客に継続して商品やサービスを供給して行く仕組みを持つと、その間に例え不具合や不良が発生しても、直ちに改善・改良して、より良い商品やサービスを提供することができるからです。活性化という観点で見ても、継続重視のビジネスはハデではありませんが、穏やかながら安定した活性度ということが言えます。
お金の面でも「薄利継続」というように、ガツガツしない薄い利益と分かるから、お客様は安心(?)してお付き合いを続けてくれます。この場合、お金的には利益は薄いように見えますが、長期的には十分にビジネスが成り立つ、つまりしっかりと利益にかなう仕組みです。
しかし、短期に多大な対価を受け取ってしまうと、そんなに利益を出すのかと、お客様は直ぐに離れて行くでしょう。要は、儲け過ぎないということです。つまり、継続という時間軸での安定的な活性化を求めるのか、お金も短期なのか長期なのか、ここが問題なのです。

 言いたいのは、活性化も利益もいろいろあるということです。間違いなく言えることは、一口に活性化と言っても、目立つより控え目が良い場合もあるし、お金的にも時間軸の中で考えることが大切だということです。最近、企業の不祥事が報道される度に言われることは、共通的にハデなパフォーマンスと目先のお金の話です。

 この間、嬉しいことがありました。もう十年も前に出会った方が出世して、私に開発の仕事を一緒にやらないかと声を掛けてくれたのです。
よく、桃栗三年柿八年と言いますが、この場合は「種まき十年」。まさに十年前から大切にしていたご縁が、今になって花開いたということです。私にとっては、この「時間軸」で緩やかに繋がるご縁をいただくことが最大の利益なんです。大袈裟に意識しなくても、大切にしていたいという想いが利益に繋がるものなんですネ。

 そう言えば、「信心(宗教ではなく、自身で決めて信ずるという意味で)すれば、そのうちに何か良いことがある」と父親が言っていましたが、それが本当の「ご利益(ごりやく)」というのではないでしょうか。