【Vol.90】プラチナ人材が日本を救う!

 嬉しいことがありました。我社のシルバーさんがヘッドハンティングされたのです。64歳です。更に嬉しいのは、本人も「超その気」で、やる気満々だからです。
 元々、ベテラン人材の優秀さをクライアント企業の中に垣間見ていた私は、自社もそうあるべしと決めていました。実際、入社してからの働きぶりには、お二人とも(我社には2名のベテラン・シルバーさんがいるのです)、正に「No problem」状態です。自己管理は勿論、仕事に取組む姿勢は常に前向きで、言われる前に何かをしようという意気込みが見て取れます。完璧ではありませんが、アウトプットは質量共にこちらの意図を常に配慮してくれて充分です。この辺りの、近頃の若い者には無い気配りが。シルバーさんからは、控えめではありますがバンバン伝わってくるのです。

 あるとき、そんなお二人の事を新聞記者に話したら、それじゃあと言う事になって、全国紙の全国版に掲載されたのです。「シニア再雇用 積み重ねた経験活用」。大きく踊る活字にお二人は満足そうでした。その記事を見た大企業が、そのうちのお一人に声を掛けたという訳です。
 後から聞いて分かったことですが、自分が誘われていることを私にどう伝えるか、彼は随分悩んでいたようです。彼は正社員ではなく、契約社員として働いてもらっている方です。もう、年金もいただいているし、自分のペースで働きたい。そんな気持ちを尊重しての契約です。本人も良し、会社としても丁度良し。そんなお互いの都合が合致した雇用関係です。ですから、他の仕事もやりたい彼からは言い出し難い話であることは想像できます。折角のチャンス。しかも自分の得意分野からの誘い。年齢のこともあり、顧問契約ということですから、時間的な配分もある程度自由になります。
 好条件のお誘いに彼の心配はただ一点、社長である多喜がどう思うか。それはそれは、気になったことでしょう。

 まあ、普通の会社の社長なら何か言うかもしれません。ところが、私は聞いた途端に思ったのです。「彼のキャリアがまた増える。」そうなんです、彼がまた新しい経験を重ねれば、新しい知見を身に付けることになり、結果、私達の会社に貢献してくれる。何より、彼の思いは「もっと役に立ちたい」という志です。クライアントの為にも、良い話であることに間違いはない。そう思うと、こんなおめでたい話は無いという訳です。

 私の話を聞いて、彼の顔色が変わりました。更にやる気満々、「超・超その気」になったんです。
キャリアを重ねるのが大切なんだと理解した彼は、それまではシルバー人材だったのでしょうが、これからは違います。マジックなんかじゃありません。シルバーが更に磨かれればプラチナになるのです。
 今時の若い人がダメなんて、もう嘆く事はありません。キャリアアップしたプラチナ人材が、この日本を救ってくれるのですから。