【Vol.83】媚びたらアカン

 大体、開発がうまく行くときは、誰かのアイデアが周囲の方に理解され、皆の協力の下に進むものです。
 理解の無い反対の為の反対論者や、上司の横車があっても、毅然とした態度で臨み、乗り越える。結果、後になって反対した方々も、結局は良き理解者になっている。そんな構図です。開発者が、毅然と問題点や課題に真正面から向かって行き、その姿に、周囲が協力するから難関を乗り越えることができるのです。
 それに対して、元々のアイデアやきっかけは良かったのに、結果がうまく行かないのは、途中で「媚び」が入るからではないか。最近そう思うようになりました。

 開発は困難が伴うのは当たり前ですが、その困難を乗り切る時に、どうしても弱気になりがちです。人間は弱気になると、楽な道を選びたがります。それはその筈で、辛い時により辛い道を選ぶのは大変なことだからです。このように、辛さから逃れる、楽をしたいと思ったときに、つい媚びてしまいます。
 媚びると、どうしても下手に出るのは道理でして(私は今まで偉そうな顔をして媚びている人を見たことはありません)、媚びて下手に出ると、どうしても手助けをしてくれる、つまり支援する人や救済者が相対的に上の立場になるのは当然です。そうなると、本来、開発の当事者がやろうとしていることに、逆に横槍や思い付きのアイデアをムリヤリ入れて、自分の優位性を誇示したくなったりするのです。黙って支援してくれればいいものを、誇示するための理不尽を押し付ける。そのようなことが起こってしまうのです。

 さあ、皆さんどう思われますか。辛くなって、媚びた途端に開発の方向性が変わってしまう。そして本来良いはずの結果が、ダメになってしまうのです。
 要は、毅然としていることです。
 困難に動ぜず、しっかりとしていることが大切なのです。
 辛いことにぶち当たっても、毅然としていた方が結果は良い。
 それならば、毅然として臨むことが成功への近道とも言えるのではないでしょうか。

P.S 私の出張日数は毎年平均2百数10日に及びます。従って家族、特に娘達とのコミュニケーション不足が悩みと言えば悩みです。久し振りに顔を合わせるのに、娘達のほうから擦り寄って来たりすることは殆どありません。そんな時ついつい、小遣いをちらつかせて娘の気を引こうとします。悪いと思っていても、ついつい。
先日も家内に見えないように小遣いを渡そうとしたら、どこで見ていたのでしょう、鋭い声で「媚びたらアカン!」
あ~ぁ。私の弱点です。