【Vol.30】お金が動くとチェックが入る

 私たちSIがお手伝いして開発を進めるとき、試作が必要になることがよくあります。そのような時、いつも言うように、友達の友達はみんな友達…ということで、クライアントにお願いしてサッと作ってしまうことがあります。そして、作って頂く見返りとして、商品化するとき、そのクライアントのビジネスにもなるように意図して調整します。

 当たり前のように、もう何年も前からのやり方ですが、この事を先日、新しいお付き合い先に話したら、とても不思議そうな顔をされました。
 つまり、本当にそんなことをしてくれるクライアントがあるのか、というのが一つ。
 二つ目、かかったお金はどうするのか、と心配されたのでした。問われて初めて気付くのも変な話ですが、確かに、お聞きになりたいポイントでしょう。

 一つ目の答えとして、先ずお話をするとき、意識的にそのクライアントの得意分野に関連したお願いをするようにしていると申し上げました。クライアントは試作の為にゼロから始めるのではなく、日常の業務で使う材料や設備を利用します。従って、うんと安くモノ作りが出来る訳で、気楽に取り組んで頂けるのです。
 二つ目の点は、クライアントから見れば、その後のお楽しみとも言うべき、ビジネスに対する期待があるので、先行投資的に考えてくれる結果です。開発に相乗りするような形で、役割分担が出来れば、ある意味でリスクが回避できる良策でもあるのです。

 お聞きになったその方は、とても気に入った様子で、「これならジャマが入らない」と言われます。続けて、「ウチはお金が動くとチェックが入って、わからん人に説明するのが面倒なんです」。
 確かに、思い当たる気もします。

 そう、お金は動かさずに、開発を進めればいいんです。わかり合える仲間で。