【Vol.331】 ジジイのかくれんぼ


 笑われるかもしれませんが、私は今もかくれんぼをしています。
 クライアント先に出張するときなど、新幹線の駅や飛行場の待合室で同行する人から隠れたり、そっと後ろから近付いてビックリさせたり、そんなたわいの無いことをこの歳になってもしているのです。自分で言うのも変ですが、変なことをしているのです。(笑)

 自分で変と言うのも変ですが、これまで、65歳を過ぎた人がかくれんぼをしているのを見たことがないので、やはり変と言うしかありません。(自分でも呆れますよ)

 でも、(この歳になれば)かなりの人が認知症となって、望まなくても行方不明になるのだからその練習をしている、などと言わないでくださいね。私の場合、そんなことではなくて、案外、真面目に(この言いかたも変ですが)面白いからしているのです。
 昔、子供の頃は皆さんもかくれんぼをしたり後ろからそっと近づいて、人をビックリさせて面白がっていたではありませんか。私は、その面白さを今も覚えていて、そのまま続けているだけのことです。

 一体、多くの人はいつ頃からかくれんぼをしなくなるのでしょうか。そして、その理由は何なのでしょうか。こんなこと、どうでもよいことかもしれませんが、ちょっと気になります。大人になるとしなくなるのか、しなくなるから大人になれるのか、どちらにしても大人はしないようです。
 ではなぜ、私は面白がってしているのでしょうか。

 実は私、確信しているところがあって、かくれんぼをするのは目的があるからです。
 かくれんぼの目的なんて、それがそもそも変だと言われればそれまでですが、かくれんぼをしているは、それが面白いのはもちろん、まだまだ自分も周囲の人も元気だという、それぞれの自己確認をしているように思うのです。

 かくれんぼが自己確認なんて、だから、それが変だと呆れずに、もう少し私の話を聞いてください。
 先にも書いたように、皆さんだって子供の頃はかくれんぼをしていたと思うのですが、その目的は、もちろん、遊びです。では、その遊びの目的は何だったのでしょうか。
 遊びの目的なんて考えたこともないでしょうが、よく考えますと、一人遊びは別にして、遊ぶときは誰かと、それも友達と遊ぶに決まっています。見ず知らずの子供といきなり遊びだすなんてありませんでした。
 いつも一緒に遊ぶのは友達で、かくれんぼは鬼が捜す役。最初に見つけられた者が鬼になって次々と役が回っていく、つまり、順番に自己確認(捜査)をしているような事だったのではないでしょうか。
 私は今、この歳になって、ようやくかくれんぼの本質が分ったような気がするのです。それは、はっきりとは分からなかったのですが、私の潜在意識の中に、いつもかくれんぼをする必要性が刷り込まれていたのではないかと思うのです。
 それは、昔も今も、周りの友達と自分、それぞれが元気でいることを確認したいという願望かもしれません。

 子供の遊びとしてのかくれんぼと、今、ジジイとなってのかくれんぼが同じ目的なんて、またまた変だと言わなければいけませんが、これが私のかくれんぼなのです。
 皆さんにかくれんぼをするようにとは言いませんが、たまには周囲の人(家族や友達、職場の人たち)とかくれんぼをするのも面白いと思いますよ。

 ですから、私がかくれんぼをしているときは、変だと思わずに付き合ってくださいね。