【Vol.255】還暦だって

 還暦になりました。干支(えと)が60年経って一回りして、元に戻ることから還暦と言うのだそうですが、その還暦を迎えるなんて、率直に言って、変な気持ちです。以前、自分の寿命は120歳にしようと決めていたので、まさにその半分に来た訳で、その伝で言いますと、もう一回りしなければならないのに、やっと半分でお祝いなんか変じゃありませんか。

 いい歳になったのだから、強がりを言うなと仰る向きも居られましょうが、決して強がりなどではありません。本当に、還暦なんて馴染めないのです。

 では馴染めない理由を並べましょう。先ず第一に、私は毎朝、時間があると自宅でも宿泊先のホテルでも、欠かさず筋トレをしていますが、その記録と言いましょうか、負荷と言いましょうか、要するに、段々と筋力が付き、それが増加しているのです。いえいえ、無理にしているのでも命を掛けている訳でもありません。マイペースでやっているのですが、着実に伸びているのです。一体、これから、どれくらい伸びるのか、まるで部活をしている生徒のように、それが楽しいのです。

 二つ目、仕事が面白くてこれからどうするか、それを考えるのが愉快でたまりません。10年先をどうしようなんて、そんな目先の話じゃありません、30年40年先にどうしたいかを、今、考えているのです。当たり前ですが、我が社は定年が無いので、私も自分で辞めたいと思うまでやれるのです。

 30年も40年も時間があれば、その間に勉強することも準備をすることも、じっくりと取り組むことが出来ます。決して焦る必要はありません。何なら、もう一度大学に入り直すこともできましょう。その自由度がたまりません。

 三つ目、愉快で楽しい人脈がどんどん増えているのです。そしてこれからも増えるでしょうから、この先どんな人に出会えるか、それが楽しみで楽しみで仕方ありません。いつも言うように、人脈は商脈。ビジネスや人生を楽しくする、最も大切なご縁です。人のご縁は、新しい情報を呼び、それがまた新しいビジネスに繋がって行くのです。そんなご縁が、これからも増えて行くのですから、これも、たまりません。

 四つ目、本当は一番目なのですが、照れくさいので順位を落としましたが、家内や娘たち家族との絆が、益々、強くなっているように感じています。歳を経ると、そのあたりが鈍くなったように見受けられる方も居られますが、私はその逆で、とても嬉しいのです。

 実は、最近このことを強く感じるようになっていたのですが、一過性ではないことが分かり、しかも、その有り難みが増えて行くなんて、こんな幸せはありません。

 さてさて、還暦に馴染めない理由は、その他にもいっぱいあるのですが、どうも、馴染めない理由の一番は、時間軸での還暦の位置が、例えば、終電車が夜12時だとした場合に、私は今、朝の8時頃くらいの感じなのです。変な言い方ですが、さあこれからという時に、帰り支度をするような還暦のお祝いは、私に馴染める訳はないのです。

 それにしても、お心遣いをお寄せいただいた多くの方々に、この場を借りて御礼を申し上げる次第です。そして、これからも、相変わらずのお付き合いをお願い致します。

 そして最後に、言わせてください。還暦だって? えっ、私が?