【Vol.235】やめて正解

 ビジネス・プロデューサー養成講座、お陰さまで、もう10数年も続いています。そして、最初から申し上げていることの一つに、開発とはダメだったら直ちに止めること、そんなお話を、必ず、することにしています。

 開発を進めながら、例え私が提案して始まったテーマでも、途中で、ああこれはダメかもしれないと気付いた時、私は、止(や)めましょうと言うのです。
 そうすると、あなたが言い出したことなのに、その張本人が止めると言い出すのはおかしいではないか、そう言って叱られたりするのですが、そのような時、では、ダメなことが分かっていても進める方がいいのですか? もし、そのまま進めて、本当にダメになった時、一体、誰が悪いというのですか? ダメだから止めましょうと言った私が悪いのか、ダメでも進めようと言うあなたなのか、一体、どちらが悪いのでしょうか。
 確かに、言い出したのは私ですが、途中でダメだと分かったら、直ちにそれはそこで止めにして、その次のことを考えることの方が良いのではないですか。それでも、一度言い出したら、何が何でも、ダメが分かっていてもやって、多くの無駄な時間を費やし、そして多くの在庫を作り上げ、結果、やはりダメだったのだと分かる方が良いのでしょうか、と申し上げるのです。

 いつも開発していて考えることなんですが、本当の失敗とは、この、ダメなことが分かっているのに進める事が、一番、ダメなのではないでしょうか。逆に言えば、ダメなことが分かった途端に止めるのは、失敗ではなく、新しい開発に進むための新たなスタートラインになる、そう思うのですが如何でしょうか。

 ダメな理由深く考えてもいけません。ダメなものはダメ、ただそれだけなのです。何を言うか、ダメだった理由をしっかりと分析し、同じようなダメにならないようにしなければいけない、そう言われるかもしれませんが、ダメを経験した人は、その理由は分かるものですし、ダメな理由は単純で明快なのです。それなのに、同じダメなことを、同じ理由で繰り返す人がいるなら、その人は相当変わった人と申し上げるしかありません。

 このように、ダメだと分かったら直ぐに止めましょう、そして、直ぐに次の開発を進めましょう、そうお話をするのですが、ちょっとした笑い話と言いましょうか、例え話として、男女の仲も同じこと、好き合って一緒になっても、ダメだと分かったら、直ぐに別れて、新しい人生を歩き始める方がいいですよ、などとお話しすることもあります。

 さて先日、この私の話を聞いた方からメールを頂きました。多喜先生のお話を聞いて、やはりそうなのかと気が付いて、直ちに旦那さんと別れたという、これが何と、お礼のメールが来たのです。
 ビックリしましたが、ご自身がずうっと考えていたことと同じことを、たまたま私が言っただけなんでしょう、そして、それを直ぐに実行されたんだなあと、妙に感心したのと同時に、やはり、ダメなら止めればいいのだと、私自身も再確認した次第です。

メールには、止めて正解。止めて、私の目の前が明るくなりました。本当の、私の人生がこれから始まるのです。先生、本当にありがとうございました、と結ばれていました。

お幸せに!!