【Vol.143】後出しジャンケンはズルイ

 私たちの仕事は、一口で言えば提案することです。新しい事業や新商品の具体的なカタチを、クライアントの立場で、しかも具現化できるような提案をするのが仕事です。
 受け入れられなければ、また新しい提案をしますが、次もダメ、その次も…と、いつまでもダメが続けば、残念ながらお役ご免となってしまいます。ですから、いかに新しい提案ができるかが、私たちの全てと言えるでしょう。
 いつも言いますが、新しいという事は、今までに無かったことですから、この、新しいかどうかは、とても重要な要素です。つまり、クライアントが考えていなかった事を提案して、クライアントがそのテーマを事業化・商品化して行く事にこそ、私たちの働き甲斐もありますし、クライアントには常に新しい開発にチャレンジして行って欲しいと思います。

 しかし、こんな事もあるようです。開発会議です。「実は、それは昔やった事があったけど、ダメなんだよ」。ご担当が、ある開発について提案したその後で、提案者の上司が言われたそうです。提案の内容を黙って聞いていて、しばらく皆の意見交換を聞いた後で発言されたとのことです。どうやらそのテーマは、昔、ご自分も手掛けたものだったらしく、結果は上手く行かなかったようです。今は時代も環境も違うのですから、やり方次第では上手く行くかも知れないテーマなんですが、「ダメ」の一点張りだったそうな。
多分、皆が聞きたかったのは、どうしてダメだったのか、その理由なんでしょうが、「やってもムダ」と言うばかりでお終いだったそうです。そんなにダメなら、ご担当の提案資料が出た時点(事前に配布されていた)で、言ってやればよいものを、当日、意見を言うだけ言わせた後で、振り出しに戻してしまったのです。

 この話を聞いて腹が立ったのは勿論です。開発会議の目的は、前向きな意見を重ね合わせながら、ご提案をブラッシュアップして、新事業・新商品に仕上げていく作業です。それを、後になって潰してしまう、文字通りの「後出しジャンケン」はいくら何でもひどすぎます。皆さんもこんな経験はありませんか。言うだけ言わせて、後でボツにする「後出しジャンケン上司」、あなたの会社にはいませんかね。

 さて、ご担当を慰めて家に帰ってTVを見ていたら、コメンテーターが「実は私も問題だと思っていたのですよ」。IT事業者の不正事件の評論をしています。「いつか不正が暴かれると思っていました」。

 皆さん、どう思われますか。何に腹が立つって、判った後での評論が一番腹が立ちます。最初に自分の意見を言わず、後から言うのはズルイというしかありません。「何だ、…そうなら先に言ってくれよ」と、これも後出しジャンケンじゃないかと思った次第です。要するにモノゴトというのは、先に意見を言うことに価値が有るということではないでしょうか。

 余談ですが、今度の事で思いました。ジャンケンはチョッと先に出すほうがカッコいいですよねエ。えっ、私のジャンケンですか?
 それはもう、先出し(過ぎ)ジャンケンに決めています! ははは。