【Vol.130】三上(さんじょう)

 毎日、企業を廻っていると、本当に色々なカラーがあるものだと思います。
 それは、入って直ぐに分かるもので、大別すれば明るいか暗いかの二つです。別に照明の明るさではありません。雰囲気です。明るいと感じる企業は、社員の方々も何となく活気があり、多分、経営も上手く行っているのでしょう、明るい上に爽やかさを感じる企業もあります。暗い企業は、社員にも活気がなく、ジメジメした感じで、企業も病気になっているかのようです。環境がそうだから上手く行かないのか、上手く行っていないので暗くなるのかよく分かりませんが、雰囲気や環境は、企業の業績に大きく影響するものだと思います。
 このようなとき、いつも「三上(さんじょう)」の話をします。実は、企業を元気にしたいとき、とても有効な手段でもあるキーワードだからです。

 三上とは、馬上、枕上、厠上のことです。
馬上とは馬に跨りゆらゆらとしている状態(現代ならドライブですか)。
枕上とはまくらの上でウトウトしていること。
厠上とはかわや、トイレのことです。
いずれも、今で言えばリラックス状態ということでしょうか。この、三上の状態がアイデアが生まれるためのもっとも適した環境であると、物の本に書いてあったのでした。
中国宋の時代に活躍した欧陽脩(おうようしゅう)という政治家が「分掌を練るのに最適な場所」と書き残していたのです。読んだときの「目からウロコ」状態を今も覚えています。古代より、中国の偉い人も言っていたことで、三上こそがヒラメキ・アイデアの源泉であると説いていたのです。

 まさに名言です。それまで、どのようにしたらヒラメキ・アイデアが生まれるのだろうかと、漠然とした疑問を抱いていた私は、これで一気に?マークが吹っ飛んだのです。そうなんです、アイデアが出るとき、いつも私はボーっとしていますし、していました。ここだけの話、開発会議の中で出すアイデアも、実は別のところでボーっとした状態で出たことを、今出たようなフリをして言っているだけです。ヘタをすれば、別の企業に行った時に考えていた(ゴメンナサイ)アイデアもあるくらいで、要するに、しっかりと考えれば出るとか、気合いを入れれば出るような訳ではないのが、アイデアです。
そうと分かれば、アイデアが欲しかったら三上の環境を作れば良いと思うのは必然です。

 三上、言い換えれば、それは限りなく自由な環境です。心が開放された状態です。鼻歌交じりのドライブ。ウトウト。ブリッ(失礼!)。いずれも自分だけの自由な空間だからできることです。
 もうお分かりですネ。企業を取り巻く経営環境が目まぐるしく変化する中で、今一番求められることは、生き抜くための新事業・新商品の開発です。そのためには新しいアイデアが、当り前ですが必要です。そのアイデアを次から次に創出するため、難しい理屈などは不用です。
 必要なことは、自由な環境、三上なのです。さあ皆さん、これからは三上で行きましょう! 皆さんの企業をもっともっと明るくいたしましょう!
 そして、必要ならいつでも呼んでください。いつでも馳せ参じますよ。
 タキ、サンジョウ!!なんちゃって。ははは。