【Vol.38】学び力

 九州大学TLOの客員教授として、2年目の春が来ました。時の経つのは早いもの…と、あらためて感じる、今日この頃です。お陰さまで、いくつかの成果も出て来たのと同時に、やはり、大学の研究成果の中には、スゴイ宝の山が眠っているものだと感心しています。
 先日は、そんな私の活動を実際に見たいと言う、私学の教授が同行され、九大の研究室で、私と担当教授とのヒアリングを見学していただきました。思った以上の臨場感だったのか、予想外に興奮され、是非、自分達の大学でもTLOを立ち上げたいと話しておられました。
 また、私が立教大学でお手伝いしている、特別講座「会社を作る」の話をしたら、これも大変興味を示され、ご自分でも、実は計画している最中とのことです。そのためか、この日も学生を連れていて、ヒアリングにも同行していました。

 このとき、ちょっと気付いたことがあります。その時の学生の態度です。何と言うか、要するにずっと無表情なのです。行儀が悪いと言うのでは無いのですが、頷くでも無し、積極的にメモをとるでも無し、私に言わせれば、結局何のために来ているの。と、聞きたいくらいです。おそらく、その教授にとっては信頼できる、しかも、優秀な学生の筈なのですが、打っても響かないタイプでしょうか。

 学生を先に帰し、雑談の中で、言うともなく、学生の話になりました。私としては、折角の機会ですから、学生にはもう少し感じて欲しいと思う…と申し上げたところ、教授は、実は皆あんな感じだということです。自分からは質問もせず、言われれば黙ってやる学生ばかりだそうで、手応えが無いのが普通だそうです。今時の学生は、何も自分では決めないで、指示待ち状態なのが当たり前のようです。そんなことでは、起業家になるなんて、夢のまた夢。一同、妙な気分で散会した次第です。

 まあ、私のクライアントや社員の話ではありませんから、別にメクジラを立てることではないのでしょうが、面白い筈はありません。少し、気持ちが落ち込んでしまいました。
 暫く経ったある日、クライアントからの帰り道。同行した社員とのやり取りです。何故、あのようなアドバイスをしたのか、その意図は何か、背景は…。うるさいくらいに訊いてくるのはいつもの事です。半分うんざりはするのですが、答えながら、「そうか、自分の仕事を自分で決める為に訊いているのだな」と思いました。
 そう言えば、よく質問する子は伸びるそうです。
 質問こそ知恵の源泉。「学び力」とでも言いましょうか。