【Vol.343】メラハラもある

 よくもまあこれだけあるもんだと思ってしまうほど、さまざまなハラスメント(悩ませること、嫌がらせ)が横行して問題になっています。
 セクハラに始まり、パワハラ、セカハラ(セカンドハラスメント、被害者が加害者側から圧力を受けること)、モラハラ(モラルハラスメント)、アルハラ(お酒の強要)、ジェンハラ(ジェンダーハラスメント、男らしさや女らしさを強要すること)、アカハラ(アカデミックハラスメント、教育・研究機関での権力を利用した嫌がらせ)、リスハラ(リストラハラスメント、リストラ対象者に対する嫌がらせ)などなど、何と30種類以上もあるそうです。
 中でも(叱られるかもしれませんが)傑作なのがヌーハラ(ヌードルハラスメント)というもので、麺類などをススる際に出る音が不快でハラスメントだと嫌がる人がいるようです。はたまた、カラハラ(カラオケハラスメント)やブラハラ(ブラッドタイプハラスメント)というのもあって、カラオケで歌うことを強要したり血液型で人格を決めつけたりすることがハラスメントになるとか……。

 私自身はそんなことがハラスメントになるのかと考えますが、当人は深刻に受け止め、大きなダメージを受けているわけです。無意識で何も考えずに起こしている行動が、結果として、ある人にはダメージとなっている――。これは、大きな社会問題です。

 しかし、あえて誤解を恐れずに申し上げますと、受ける側が不快な感情になったり圧力を受けたと感じたりすることすべてがハラスメントだというなら、何かを言ったり何かをしたりするときに、いちいち「これはハラスメントになりはしないだろうか」とドキドキ不安になるばかりです。これはいかがなものでしょうか。そんな社会、寂しいではないですか。気持ちも暗くなってしまいます。

 もっと言えば、受ける側だけをハラスメントの被害者にするのはいかがなものでしょう。受け手側に問題がある場合も、案外、あるのではないかと思うのです。そして最近、そのような意味で、新種のハラスメントがあることに気付きました。

 それが「メラハラ」です。正式には(私が命名したのですが)「メランコリーハラスメント」です。何か嫌なことがあって気がふさいだり、憂鬱になった人が特別に悲壮感を漂わせたりした結果、必要以上に気を使わなくてはならなくなった周囲の人も憂鬱になってしまう現象です。
 そんなこと、それこそどうでもいいと言われる人も多いかもしれませんね。ですが、私にとってはかなり重要なのです。なぜなら、私はそのような人を見ると、どうしたらいいのだろうか、どうしたら楽しくなってもらえるのだろうと、気になって気になって仕方なくなってしまうからです。見ぬフリ知らぬフリをすればよいのかもしれませんが、そうはいかないのが私の性。困ってしまうのです。

「それはおまえの問題で、本当に憂鬱な人に失礼ではないか」
 そう言われるかもしれません。でも、これも誤解を恐れずに申し上げますが、憂鬱な顔を見るのがつらいのです。見なければいいのかもしれませんが、逆に、憂鬱な顔を見てうれしい人はいるのでしょうか。
 生きていれば悲しいこともあるでしょうし、気がふさいだり落ち込んだりすることもあります。でも、できる限り周囲の人に心配をかけないようにすることも、大人としては大事なことではないでしょうか。

 ここまで書いて、今回のBP通信は大炎上するかもしれないと覚悟しています(笑)。
 ですが、私は懲りずに申し上げたいのです。
 陰湿で悪意に満ちたハラスメントに出くわしたら、それはそれで何とか乗り越えてください。そして、楽しいこと、うれしいこと、ワクワクするようなことが起こったときには、その感情を素直に表現してほしい。
 そうやって、いつかは、皆が和んで穏やかな笑顔に満ちあふれた世の中にしたいものです。

 ただ、楽しませすぎて、その人が腹を抱えて笑いすぎてしまった結果、不具合が生じたら……これは「ラフ(laugh)ハラ」といわれるのでしょうね(笑)。