【Vol.10】ビジネスモデル特許は脅威?

 昨今、「ビジネスモデル特許」という言葉をよく耳にします。ビジネスの「今までにない新しい仕組み」や「儲かる事業の仕組み」、「コンピュータを使う金融ニュービジネス」など、いろいろ定義されています。しかし、今のところ特許庁のはっきりした見解は出ていません。
 海外、特に米国では既に3000件を越すビジネスモデル特許が出願、あるいは成立していると言われていますが、わが国ではここ数か月の間に、にわかに注目され始めたというのが現状です。「このままでは、ビジネスモデル特許でも米国に敗けてしまう」。多くの悲観論も拡がっていますが、冷静に考えてみますと、そう心配することはありません。なぜなら、私たちも以前からしっかりと出願しているのです。ただし、ビジネスモデル特許という意識はありませんでしたが。

 例えば、「著作物の著作権料自動精算システム」という出願を、私は3年前にすませています。勿論、クライアントのための発明ですが、今なら、ビジネスモデル特許として話題になることでしょう。当時も今もそうですが、なるべく広い権利を確保し、より強い特許にするためには、必然的に「ビジネスの方法」がどうあるべきかを考えます。方法、つまりメソッドには発明の余地が限りなくあるのは当然で、また、その新規性を発明と解釈するかどうかは、応用する技術の進歩につれて変わるのも、これまた当然でしょう。要は、ビジネスを優位に進めるための新しい考え方に新規性があるかないか、または、そのための技術的工夫があるかないか、そのうえに、ビジネス全体の構想・デザインが明確になっているかが重要なのです。

 コンピュータがどんどん進化し、使い易くなった時代に、今までの方法ではできなかったことが、いとも簡単にできてしまう。コンピュータをはじめとした機械や装置、ソフトウェア、そしてシステムの使い方を考えるだけで、新しいビジネスが創造される。このような時代に、ビジネスモデル特許の脅威を心配するより、むしろ積極的に取り組むほうが、良いに決まっていると思うのですが、いかがでしょうか。