【Vol.353】ならぬことはならぬものです

世界中が新型コロナに振り回されています。
中国から感染が始まったのは間違いないようですが、国ごとにその対応が異なります。
マスク着用を義務付ける国もあれば、不要であると大統領が言ってしまう国もありました。
中には、新型コロナウィルスはインフルエンザよりも死者が少なく、ただの風邪と言う大統領もいるようです。

当然、市民もいろいろ言う訳で、若い人は軽症で済むのだから、年寄りだけが気を付ければよいと、高齢者として聞き捨てならない暴言を吐く人もいるようです。
確かに、インフルエンザよりも死者ははるかに少ないようですし、若い人は軽症で済むようです。
ですが、インフルエンザと違って困っているのは、ワクチンや特効薬がなく、ひとたび罹ったら、他の人にうつさないように隔離しなければいけないということです。
このことは、誰もが知っている、老若男女を問わず、誰にも共通する事実ではないでしょうか。

でも、TVを見ていましたら、若い女性がインタビューに答えて、「ホストクラブも産業だから、営業停止にするなんて出来ないわ」と、平然と言っているのです。
取材記者が「でも、誰かにうつしたら、うつされた人は大変なことになるのでは?」と言っても、「うつされた人は運が悪いだけ」と、平気なのでした。

 私は会津若松に伝わる「什の掟」を思い出しました。

 什の掟とは、昔、会津藩の同じ町に住む六歳から九歳までの藩士の子供たちが、十人前後で集まりをつくり、この集まりのことを「什(じゅう)」と呼んだとのことです。
 そして、そのうちの年長者が什長(座長)となって、毎日、順番に什の仲間のいずれかの家に集まり、什長が次のような「掟(おきて)」を一つひとつを聞かせ、昨日から今日にかけて掟に背いた者がいないか、確かめたという実話です。

 その什の掟とは
一、年長者の言ふことに背いてはなりませぬ
二、年長者には御辞儀をしなければなりませぬ
三、虚言を言ふ事はなりませぬ
四、卑怯な振舞をしてはなりませぬ
五、弱い者をいぢめてはなりませぬ
六、戸外で物を食べてはなりませぬ
七、戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ
ならぬことはならぬものです

 と、最後に必ず「ならぬことはならぬものです」と言って締めくくったというのです。

 これを、「コロナの掟」にしようではありませんか。
一、専門家の言ふことに背いてはなりませぬ
二、年長者にうつしてはいけませぬ
三、マスク不要などと虚言を言ふ事はなりませぬ
四、しているふりをして対策をしないような卑怯な振舞をしてはなりませぬ
五、高齢者や病弱な人にうつしてはなりませぬ
六、大きな声で話しながら物を食べてはなりませぬ
七、三密になって交際してはなりませぬ
ならぬことはならぬものです

 いま私たちが出来る一番確実なコロナ対策は、会津の什の掟と同じなのです。