【vol.298】挫折ワクチンは早めに

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ある経営者(社長です)から聞いたお話です。ずっと、言わば盟友として一緒に頑張ってきた方に裏切られたと言うのです。

会社の金は使い込むは、それも事業ではなくて私的に、しかも遊興に使い込み、バレそうになったら、逆に それを正当化しようと、社長の悪口を並べた挙句、何と、部下を引き連れてライバル会社に移籍しようと企てたというのですから、これはもう立派な背信、犯罪です。
この経営者、もう終わったことと笑い飛ばすほどの太っ腹とも言えますが、こうも言われました。「これがこの歳でしたからよかったのです。もう少し歳を取っていたら立ち直れなかった事でしょう。ラッキーです」。

これは、まさしく本音でしょう。私も若い時に色々ありましたが、振り返ってみると、本当に若い時でよかった、そう思うのです。
慰労会ではありませんが、その後、会食する機会がありました。飲むほどに酔うほどに、お互いに口も滑らかになり、フッと「挫折ワクチンは早めに」と言いました。言いながら、挫折経験とは確かにワクチンのようなもの、と思ったのでした。

私たちは、上手く行っている時はイイのですが、上手く行かない時、人間の身体で言えば病気になった時は辛いものです。この時、予めワクチンを接種しておけば、抗体や耐性があるので、病気に罹っても重態にならない場合があります。
これと同じように、挫折を病気に置き換えると、この経営者が経験した嫌な事は、これからの挫折に備えるワクチンであると言えるのです。

この社長の場合は、風邪だと思ったら毒を盛られていたようなもので、体力がなかったら死んでしまうような出来事でしたが、今度の経験で、しっかりと抗体と耐性が出来たことでしょう。この経験がワクチンとなったのです。
社長にとって、これからも嫌な事や多くの困難が降りかかるのでしょうが、ワクチンによって抗体と耐性が出来ているのですから、着実に乗り越えることが出来ると思うのです。

こう書きながら、ワクチンは早めがいいと思うのですが、そのワクチンも効かない歳になるとどうしましょう。しかも、挫折なのに挫折と思わなくなっている場合もあるかも知れません。出来事に対応するときスピードや感覚が鈍感になる事ですが、もっと言えば認知症の症状が現れるかもしれません。
しかしこれは、結果的に嫌な事や困難を気にせずにやり過ごすことであるのですから、抗生や耐性を持つのと同じ効果です。そう考えると、これもワクチンと言えるかもしれません。

そうすると、ワクチンはいつでもアリと言い替えなければなりませんね。
…よく分からなくなりました。(笑)