【Vol.214】会社の大きさとアイディアの大きさ

 信じられない話です。何と、私のクライアントの大発明(詳しいことは割愛しますが、本当に凄い大発明です)を、「そんな小さな会社にできる訳はない」と言った人がいるのです。
 そのまま受け取れば、アイデアとは大きな会社から出るもので、小さな会社にはアイデアが乏しいと言っているのに等しい発言です。
 この話を聞いた途端に、思わず「どこの誰?」と訊いてしまったのですが、この人、以前は大会社に居られた方だそうで、今は、国立大学法人の知的財産権を管理する担当者だそうです。そんなことを言う人、どうも、大会社に多いようです。

 確かに、寄らば大樹の陰という言葉があるくらい、大会社は安定しているように見えます。しかし、その分だけ、大企業は安定してアイデアも出ているのでしょうか。
 事業規模や社員の数は多くても、アイデアの数も、それだけ多いのでしょうか。私の見るところ、逆比例とまでは言わないまでも、相対的にアイデアを出す人の割合は少ないように思うのです。

 企業におけるアイデアの活性度、と言っていいかもしれませんが、その理由はちゃんとあって、そもそも大企業では、大きな組織の中に役割分担という名の小さな組織が多数あり、夫々が連動しています。
 つまり、多くの歯車がそれぞれ噛み合っている状態です。そこでは、言われたことをちゃんとやっていれば会社は回るので、(あえて言いますが)それが、自分のアイデアだと思っている人が多いのです。
 自分で考えた訳でもないのに、ちゃんとなっているのだから自分のアイデア、そう思うのが自然かもしれません。まあ、ほほえましいとも言えますが、それはそこまで。だからといって、小さな会社にはアイデアが乏しいなどと言ってはいけません。

 事程左様に、会社は大きいほど優れている、アイデアも豊富にある、そう考えている人は案外多いのですが、これは完全な錯覚です。
 大企業は強くてアイデアに溢れ、創造性もある。それが錯覚であることを、あの破綻した某国の証券会社が証明してくれましたし、ビッグスリーと言われた大メーカーは、今、最も苦しんでいるのです。

 こう書きながら、以前知り合った、中堅コンサルタント会社を思い出しました。
 そのコンサルタント曰く、会社は大きくなれば潰れない。年商が50億なら100億に、100億なら200億に…。そうすれば会社は絶対潰れない…。
 当時、多くのコンサルタント会社の指導理念はそうでした。でも、きっと今も、右肩上がりの売り上げ、規模の拡大、そのように「指導」しているのでしょう。規模の拡大こそが企業を強くする、皆、そう思っているのです。

 しかし、間違いなく言えるのは、アイデアこそが利益を生み出し、利益こそが企業の足腰を強くします。
 アイデアに拠らない付加価値なんてありませんし、もしあったとしたら、それは、過去に稼いだ貯金です。

 さあ皆さん、小さな会社の素晴らしいアイデアを共有しましょう。山椒は小粒でもピリッと辛い、そんなアイデアが、大企業じゃなくても沢山あるのです。この閉塞感から脱却する為には、小粒な企業の、ピリッと効くアイデアが不可欠なのです。

 さて、SI のアイデアはどうかって? ピリッ、なんてもんじゃありません。超!激辛、ビリビリ、バリバリ!(意味が分からない…)に決まってるじゃありませんか、ははは。