【Vol.161】梁山泊的プラットホーム

 最近、転職することがキャリアアップとして認知されつつあるようです。転職コンサルタント会社や人材派遣会社が盛況なのは、益々、人材が流動化し、それがが当たり前の時代になっている証拠です。
 ですが、ここであえて「されつつ」と言うのは、やはり未だ理解は薄く、転職という言葉に後ろ向きのイメージを持つ方が多いように思えるからです。

 今回は、転職や会社のあるべき姿について、私なりに考えていることをお話しましょう。
 実は、当社の社員はほとんどが転職組です。新卒採用は今まで一人しかいません。加えて定着率はと言いますと、一番長い人で12年目(創業以来のプロパーはいません)、平均では3~4年で独立したり他の企業に引き抜かれたり、出入りが激しい会社です。出入りが激しいなんて、変な会社と言われるかもしれませんが、私自身はそれが当たり前と思っていますし、もっと言えば、そのように促しているのです。
 理由は簡単で、「梁山泊的プラットホーム」、そう決めたからです。

 説明しましょう。ご存知の方も多いと思いますが、先ず「梁山泊」。梁山泊とは、中国の山東省西部、梁山のふもとにあった、宋江(小説「水滸伝」の主人公)を首領とする108人の意気盛んな豪傑がたむろしたという、波乱万丈の物語発祥の地です。
 この梁山泊のような会社にしたいと私は思ったのです。人材がいつまでも留まらず、いつかは自分の進むべき道に自らの意志で歩み始める。そんな面々と一緒に仕事が出来ればいいなと思ったからです。入社したら定年まで勤め上げるのもいいのでしょが、私はその逆を考えたのです。大体、私の会社では年功序列なんてありませんし、ただ居るだけでは良いことはありません。いつも、個性溢れる野武士のような人たちが出たり入ったり、ガンガンやる会社にしたいのです。
 でも、出て行ってしまってそれでご縁が切れたら淋しいし、せっかくの私たちの人脈やこれだけのクライアントの情報を活用しないのはもったいない。次に、ここのところを上手く解決できないかと考えたのが、「プラットホーム」です。そう、駅のプラットホームと同じです。 客が目的地に向かって電車に乗り込むためのプラットホームは、乗る人と降りる人、行く人と帰る人、様々な人や荷物が行ったり来たりと、これから移動するために利用するステージです。そこで乗り降りする人には情報がついていますし、運ぶ荷物にはビジネスが連動しています。私は、会社をこのように機能的な人材プラットホームにしたいのです。

 二つを足して「梁山泊的プラットホーム」。これでお分かりでしょう。
 優秀でガンガンやる気のある人材は、ずうっとひとつ所に留まって居ようと思う筈はありません。もっと上、もっと刺激の在る場所を求めるに違いありません。そして、そのような人材こそが新しいビジネスを創造するのです。いつも言うビジネス・プロデューサーとはそのような人材です。

 如何でしょうか皆さん。あなたの会社は梁山泊的プラットホームですか。これからの人材と会社の関係が「梁山泊的プラットホーム」で当たり前になったとき、「転職」という言葉は死語になっているはずです。