自動車業界で鍛えた開発技術と
VE手法で新市場を獲得したM社 |
ビジネスモデル。特別な事業形態を意味しているように思われがちな言葉。しかし、要は「儲けの仕組み」のこと。今回は、既存の技術や製品の特徴的な強みを生かして、新市場を形成した企業の成功ストーリーを紹介する。
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■ヒートパイプの劇的な低価格化を実現したM社の戦略
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ビジネスモデルというと、あたかも特別な事業形態を意味しているように思われがちですが、要は「儲けの仕組み」です。先の、環境関連モデルも同様ですが、技術や製品の特徴的な強みを生かして、新規の市場を形成する方法があります。
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ヒートパイプという部品が、電気・電子製品における放熱や融雪対策、廃熱回収機構として知られています。これは、金属パイプの内部を真空にし、作動液として少量の水などを密封した伝熱素子です。パイプの一端を加熱すると作動液が蒸発し、蒸気流となって低温部へ移動します。他端では冷却部があり、蒸気流を凝縮させます。凝縮液は、毛細管現象または重力により、再び加熱部へと戻ることになります。このような蒸発、移動、凝縮のサイクルを繰り返し、熱を連続的に輸送するものをヒートパイプと呼びます。ヒートパイプの競争環境は年々激しくなっていますが、わずか数社が大きなシェアを握る市場でもあります。
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情報化の進展や省エネの潮流を受け、ヒートパイプの裾野は拡大しているものの、チャレンジャーとなる各社は、放熱効率の向上や小型化を目標に、技術競争に躍起になっていました。そんな中、中部地方のM社も、ヒートパイプ市場に新規参入しました。M社は、元々ブレーキチューブを手がける自動車部品メーカーでした。自動車のブレーキはブレーキペダルを踏むとブレーキオイルがパイプを通って車輪に付いているディスクブレーキやドラムブレーキを作動させ、自動車を止めます。このパイプがブレーキチューブです。M社の新規参入にあたって強みになるのは、任意形状のパイプ加工能力とパイプ内を通過する流体制御のノウハウでした。これら、ブレーキチューブで培った経験は、ヒートパイプを使った熱交換機の開発に大きく寄与することが明らかになりました。
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ただ、ヒートパイプといっても膨大な用途や仕様があります。実は、新規参入にあたってのM社の強みは、彼らが自動車業界で鍛えられたVE手法を身に付けていた点でした。VEとはヴァリュー・エンジニアリングの略で、価値分析と訳され、製品の機能を確保しながらコストを縮減する手法として知られています。顧客が望む機能や、仕事の目的をあらためて問い直してみると、得られる結論は大きく変わってきます。これは、自動車メーカーからの厳しいコスト削減要望に対し、妥協のない改善を繰り返してきた自動車部品メーカーならでわです。
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ヒートパイプについては、そのコスト構造の見直しが図られ、各顧客層が求める「価値」について再検討。そして、M社は、ニーズに合わせて極力性能を絞り込み、劇的な低価格を実現したのです。まさに、得意とするVE手法を分野の違う電機業界向けの新商品に反映させ、技術競争に邁進する他社に対し、見事な差別化を収めたわけです。
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M社のビジネスモデルを強固にしているものは、自社の強みを、冷静・客観的に見る目だと言えるでしょう。
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