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開発事例物語
 

自動車整備業界と配管保守業界で
待ち望まれていたソフトウエア
東北のソフトウエア会社が開発した、整備する自動車を部品単位で管理する「メンテナンス・カルテ」を有するソフト。この商品が配管保守業界に横展開し、その有する力を発揮することになる……。
■規制緩和と情報化される業界
 従来は情報化とは縁遠かった業界が、規制緩和を契機に、その波へと一気に巻き込まれようとしています。
 たとえば「制度疲労」を指摘されている車検制度もそのひとつです。つい数年前までは、整備工場から出される見積書に対し、整備技術料や部品代が、なぜそれだけかかるのか、釈然としないまま十数万円の費用を支払わされていた人も多いはずです。部品の寿命を念頭に入れ、整備工場と議論できる人でもない限り、まずクレームはつけにくいものでした。それに加えて、97年以降の規制緩和によって、整備業務にカー用品専門店やガソリンスタンドなどの異業種の参入が始まり、利用者側にすると、整備業務に対する比較や評価を余計に難しくしてしまったようでした。
 こうした状況に、東北のソフト会社B社が強みを発揮しました。整備する自動車を部品単位で管理する「メンテナンス・カルテ」を有するソフトを開発し、明確な疲労・不良診断を実現したのです。その結果、整備側は顧客にわかりやすいレポートを提出できるようになり、かつ、部品の余命予測によって、整備予算を顧客の都合で組んでもらうことをも可能にしたのです。また、整備予測を見極められるため、経営戦略を立てるうえでの有効情報を入手することもできるのです。もちろん、このソフトは、整備事業への新規参入を考える企業にとっても大いに役立つツールとなるでしょう。
■市場の大きさを背景に生れた技術
 B社が、この、膨大な数にのぼる部品点数の管理システムを開発できた背景には、規制に守られていた業界ゆえに、合理化の進んでいない整備工場が数多く存在していた、という事実があります。つまり、高度なシステムを開発しても、採算が成り立つだけのマーケットの大きさがあったということです。
 そこで私は、このシステムの構造自体が、さまざまな業界で役立つことを見出しました。たとえば、ポンプや配管系統の保守整備などにかかわる会社もそのひとつ。この会社では、不良部品を交換する作業員の出張計画を組むのに大変な苦労をしていました。ところが、どの現場で、いつ頃、部品交換が発生するのか、あらかじめわかっていれば、作業員手配は容易になるはず。彼らの悩みは、まさに整備工場向けに培われたシステム技術が応用できる分野だったのです。
  さらに、自動車部品は名称だけでは理解しづらいため、このシステムでは個々の部品を図化し、ビジュアル管理できるようにしているのですが、配管系統の膨大な類似部品も、型式からだけでは間違えやすいものでした。このように自動車整備業界と配管保守業界における悩みには、多々共通点があったのです。
  実際、両社はすでに共同検討に着手し、配管保守分野での特許出願にこぎつけるところまできています。もし、両者の共通性に気がつかなければ、双方の業界は個別に多額の開発投資を迫られるところでした。
  このように、「横展開」の発想は、ソフトウエアの分野においても重要なカギを握り始めているのです。
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