自動車用シート製造メーカーが開発した
「防振のための永久磁石」が他業界で開花! |
| 自動車用シートを製造する某メーカーが、これまでの常識を覆す装置を開発した。コストの観点から量産化するまでには至らなかったこの技術は、思わぬ発展を遂げることとなる……。
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■防振を追求し、磁気技術を実用化
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自動車用シートなどを製造する部品メーカーA社は、車両走行中にエンジンや路面の状況、運転方法などによって人体に伝わる振動や衝撃から、いかに搭乗者を守り、快適な乗り心地を実現するかを課題に研究開発を行ってきました。そんな彼らが着目したのが、磁石でした。
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磁石の反発力を利用して浮きあがらせる |
| 反発し合う永久磁石の特徴を生かせば、非接触で防振対象を浮かせることが可能になります。磁石を、いわばバネとする発想です。磁気浮上の研究を進めた結果、A社は優れた減衰特性を持つ制振装置を開発することができました。 |
磁気の反発力を利用しつつ減衰特性を出す「磁気バネ」機構が開発できたことは、機械式のダンパーを組み合わせる方法しかなかった制振装置の常識を覆すものだったのです。
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■防振対象、防振目的を変える
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しかし、当初「磁気バネ」は、自動車のシートに組み込んで量産できるまでのコスト対応可能な機構には至っていませんでした。そこでA社は、現状のコストでも必要としてくれる業界はどこか、振動から守るべき対象が何であれば、最も付加価値が高くなるのかを考え抜きました。その答えは「人命」でした。
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A社は、けが人や病人が運搬される救急車に着目し、搬送中の患者への負担を軽減させるため、消防局と共同での開発に着手。そして「磁気バネ」を用いた防振架台の実用化に成功したのです。この防振技術は、さらに、美術品や精密機械の運搬など、防振対象を変えていくことで、新たな展開領域を獲得するでしょう。
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また、A社の工夫は防振にとどまりませんでした。この技術の定義を「防振」だけではなく「加振」にも広げたのです。磁力により発生するエネルギーを機構内部に蓄え、磁石の配置を制御することができれば、蓄えたエネルギーを自由に外部に開放できます。これが、振動を発生させる加振装置となるのです。では、わざわざ「揺れを起こす」装置の用途とは何なのでしょう。まずは、自社が製造している自動車用シートの耐久性や防振性を試験する加振装置になります。これは想像の範囲内です。しかし、発想はもっと広がりました。この装置を人体に用いることで、「乗り物酔い状態」を発現させる加振装置にもなったのです。一体、こんな装置を必要とする顧客とは……?ぜひ想像してみてください。
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