漆塗り風スチール納骨壇を製造した
什器メーカーと仏具メーカー |
三重県の什器メーカーと京都府の仏具メーカーが手を組んで、寺社向けスチール製品を次々と開発・製造。成功のカギは、自動車メーカーが開放した塗装技術とキーマンたちの熱意にあった。
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ベンチャー企業が話題の昨今ですが、開発、製造、販売と、膨大なパワーを要するこれらすべてを新進企業がやり遂げるのは、容易なことではありません。一方、日本には、熟達した技術や生産ラインを持ち、長年いい仕事を続けている会社がたくさんあります。私は、こういう目立たない優良企業同士が業界を超えて手を組み、新事業を生み出すことこそ優先すべき課題だと考えています。
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ところが、経営者や技術者たちは、自社の技術やインフラが、業界内ではどのような位置にあるかはわかっていても、他業界でどれだけの価値を持ち、また、どう応用できるのか想像もつかない。そもそも他業界への展開など考えたこともない。しかし、新事業のための提携は、遠く離れた業界同士ほど成功率が高いのです。そこで、業界を分ける「業際」を超えた展開を訴え、縁を結ぶ第三者が必要になります。その第三者を務めるのが私の仕事です。では、どんな縁結びの事例があるのか、ひとつご紹介しましょう。
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私のクライアントに、年間150万本のスチール家具を製造するラインを持つ什器メーカーがあります。仮にA社としましょう。国内大手の什器メーカーにOEM展開をしていますが、2年前、大手自動車メーカーが開放した塗装技術を活用して、寺社向けの漆塗り風スチール書棚を製造しました。
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お寺が消防署の指導のもと、木製書棚からスチール製書棚へと替えていく様子を目にして違和感を感じていた私は、京都にある仏具メーカーのB社とA社を引き合わせ、新しい書棚の開発・製造を提案したのです。高度な塗装技術を使い、格調高く仕上がった漆塗り風書棚は大ウケ。そこで話はさらに発展。今度は納骨壇をつくってみることになりました。
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従来の納骨壇はアルミ製が主流。そのためプレスが利かず、何の変哲もない箱形でした。ところが、スチール製ならプレスができ、曲げや装飾も自在。しかも塗装の質感が抜群で低コスト。これは見事に成功しました。神戸市にある某寺院には2000基を納入したほどです。A社は寺院という新市場を、B社は顧客に喜ばれる新製品をそれぞれ手にしました。が、成功までには、もちろん困難もありました。B社は仏具メーカーの中でも、本堂に置くお内陣と呼ぶ大きな仏壇をつくる一流メーカー。格式高い仏壇を販売してきたB社の営業担当者たちが、「スチール製品なんか売れない」と言い出したのです。そこで当初はA社の営業担当者が、B社の名刺を持ってサポートしました。やがて、B社の営業担当者の意識も変わりました。ですが、この意識変化は何となく起こったものではありません。それぞれの会社に新事業を成功させたいという思いを強く持つキーマンがいたからこそ起きた変化なのです。
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| 業際を超えた新しい事業提案を、私は横展開と呼んでいますが、この横展開を成功させる最後のカギが「人」です。どんなに素晴らしいアイデアがあっても、一生懸命に動く人がいなければ、異業種提携を成功に導くことはできないのです。
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