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開発事例物語
 
知財戦略2 知財担当者の役割 〜開発への準備 その5〜

■ プロパテント時代の知財「担当者」
 最近、ある大企業の知財担当者と話をする機会がありました。担当者と言うより責任者というお立場ですが、いずれにしても知財を管理し戦略的に運用している方です。その話の中で「知財資本」という言葉が何回も口に出たのが、とても印象的でした。私も申し上げる事が多い「情報資本主義」と同じような意味ですが、むしろ「知財」と言い切ったところに感銘を受けました。言うまでも無く資本とは企業にとっての元金です。事業を企てる根源的なお金ですから、これが無くては文字通り始らない訳です。知財が資本ならば、企業の元金が知的財産権と同等の意味を持つと、言われたのです。
 経営において、知財をこれだけ上位に位置付けている方々が多くなった事に私達は気付かねばなりません。知財を単に商品や技術の周辺権利などと、狭義に捉える事が如何にナンセンスかと、私は改めて認識したのです。知財は、事業の進め方などの「運営手法」より根源的な、経営に不可欠な資本であることが常識になりつつあるのです。さて、そうなりますと知財の「担当者」の役割は如何に考えるべきでしょうか。担当者などと言う呼び方が軽いか重いかは別にして、単に「取り扱う人・者」という意味でない事は明白です。
 話は変わりますが、私の肩書きは17〜8年前からCIOでした。Chief Information Officer つまり、最高情報責任者とでも言いましょうか、会社の内外にある情報を一元的に統括する役割と定義付けています。要は情報を散在させずに有効活用するための責任者です。当時から、私が代表取締役なのにCEO(Chief Executive Officer)とせず、何故このような肩書きを使っているかと訊かれることも多いエピソードです。その理由は、私の会社における役割は実は経営者としてではなく、あくまで情報を取得もしくは掘り起こし、それを知財として開発し、新商品や新事業に役立つような情報に加工して提案することであると、明確にしたかったからです。CIOとCEOがどちらが偉いのかと訊かれる方もいて困るのですが、一般的にはCEOが最高経営責任者ですから、そちらが偉いに決まっています。
 お分かりでしょうか、実は、私は以前から情報が大切、それも経営以上に重要なことと端から決めていたのです。ひょっとすると、知財という情報は経営に関する最も優先すべき「資本」と考えていたのかも知れません。何か手前味噌になってしまいましたが、それだけ私は知財を特別に見ていたと言いたいだけで、決して自慢話をしたいのではありません。
 いずれにしても、知財を扱う立場の人は特別の人である事を、認識すべき事に疑う余地はありません。

■ 経営に関わる立場の認識
 ですから、知財を扱い運用する立場にある方は、知財を軽く考えてはいけません。知財が資本と言い換えれば良くお分かりになると思うのですが、経営に最も優先的に反映される原資なのですから、その取扱者は経営における最高責任者そのものです。
 さて、そう言われて「そのとおりだ」と素直に言える知財担当者がどれだけいるのか、大いに興味のあるところです。冒頭の方は既にハッキリと認識しているとは思うのですが、皆さんは如何でしょうか。まあ、これから考えれば良いことかも知れませんが、今後の知財戦略を考える上では最重要課題です。
 何故なら、知財資本の時代において、それを取り扱う立場の方が、経営に関係しているのか無関係なのか本人の自覚が無いとしたら、正しく「猫に小判」状態に陥ってしまうからです。 
 さあ、今からでも遅くはありません。知財資本という言葉の本質と、それを取り扱う立場の認識を新しくしようではありませんか。そうなんです、知財を経営基盤とみなし、困難な経営環境を乗り切る為の最大の資本となるようにすることが、知財担当者の真の役割なのです。
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