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開発事例物語
 
何故、企業は自らのポテンシャルに気付かないのか 〜開発への準備 その2〜
 戦後、急成長を達成して来た多くの企業は、自らのポテンシャルには気付かないもの。それは、むしろ当然の事であると私は思っています。何故なら、それは戦後の日本経済を支える、背骨・屋台骨のように構造的なもの、基本的な考え方に由来するからです。その考え方がある限り、裏返しに言えば、パラダイム(経営指針・規範)が変わってしまった現在、いずれの企業も大きな飛躍は期待できないだろうとさえ思うくらいです。
 その考え方とは、「低コスト」です。コストは、商品やサービスを提供する為の材料費や加工費・制作費、利益など、一切合財を含めた全ての値段のことです。翻ってみると、戦後わが国の競争力の最も基本的な優位性は、低コストでした。大量生産システムによって作られたコストの安い商品は、それまでの外国製品を駆逐し、快進撃を続けました。併せて品質も良かったのですから、もう、当り前に売れるようになったのです。ここで、いや、低コストより品質が良いことに顧客は満足したのだ。コストより品質だ。と言う議論がありますが、私は明確に「コスト」であることを確認しておきたいと思います。具体的な事例でご説明しましょう。今、中国で作った衣類販売で急成長している企業を知らない人は少ないでしょう。それまでの、衣類価格の常識をひっくり返すような低価格で販売するお店は全国展開して、大げさに言えば日本中何処にも出店しているような感じです。このお店に買い物に行く皆さんは、果たして「品質」が魅力なのでしょうか、それとも「コスト」でしょうか。少なくとも私は、低コストのことだけが魅力と思い、足が向いている者の一人です。多くの人は同じでしょう。
 もうお気づきですね。そう、今も昔も普通の人は、モノを買うのに、先ずコストを優先させるのが当り前のことなのです。コストは、商品やサービス、技術やノウハウ、全ての要素で、一番ハッキリ差が出るもの、もっと言えば「出しやすい」ものです。原材料費の調達費をギリギリまで低減し、加工費、管理費、流通費、あらゆる経費、そして利益までも限界まで詰めて行く、これが最もシンプルな経営手法なのです。ですから、その上(こういう場合、下?)を行くような「コスト削減者、コスト・カッター」が現れると、簡単に負けてしまうのです。一体、私達はこのような事例を幾つ見て来たのでしょうか。些か誤解を恐れず言わせて頂ければ、こんな事を、いつまで懲りずに続けようとしているのでしょうか。コストが安いのは当り前と言いながら、採算度外視で競争し、挙句、相手の体力が続かなくなると、一時的には優位に立てるのですが、あっという間に、更に安い業者が現れる。こうして、もうわが国の材料費・燃料費や光熱費、工賃や人件費も限界になり、削るところが無くなって、仕方が無いから、全てが安く済む海外に出て行く。この繰り返しが、わが国企業が続けている、行動パターンそのものです。
  さあ、ではどうしたらこの凋落パターンから抜け出ることが出来るのでしょうか。それは、コストを敢えて「高く」する事を考えれば良いのです。私は「モノからコトへ」と言いますが、高く売れるコト(事柄・事由)は、付加価値を加えることに他ありません。モノの価値はコストが優先です。それなら、コトの価値をどうするかが問題です。もっと手を掛ける、丁寧にする、めんどくさいこともする、良い気持ちにさせる…等を考えるのです。そうすれば、これらは顧客にとってウレシイコト、つまり最適なコトですから、ある程度高くても受け入れるてもらえるようになるのです。更に有効な事は、「数を抑える」ことです。周りに、自分が受けている、同様のウレシイコトが少なければ少ないほど、もっと嬉しくなるのが人情です。
 こうして、モノからコトへ視点を移すことが、経営のパラダイムを変えることになり、結果、足元にある経営資源を見直し、付加価値を積み重ねる経営手法にシフトすることに繋がるのです。企業の足元にあるポテンシャルに気付き、付加価値を高めてゆく経営。
 これが今、わが国の企業に求められているコトです。
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