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【Vol.13】稽古と練習の違い

 講演が終わってほっとしたのか、お酒の席で思わず「稽古」と「練習」の違いについてウンチクを垂れてしまいました。どんな経緯でその話になったか覚えていませんが、小さいころから剣道をしていたせいか、いつも先生に言われていたことを思い出したのです。剣道では、道場で「稽古する」と言います。先生は、稽古、練習をはっきりわけておられ、だらだらと気を抜くと、「そんな練習なら止めてしまえ」と厳しく指導されました。逆に、自分でも充実できたと思ったときは、「ヨシ、良い稽古だ」と誉めてくれたのです。いつの日か、先生は私に稽古と練習の違いについて話してくださいました。曰く、稽古とは精神を鍛え、内面的に向上すること。練習とは、ただ単に肉体を鍛え、技量の強弱を計ることである。剣道は、肉体を鍛えて技量が向上することだけを目指すものではない。むしろ、内面的な成長を心がけ、本質を見極める力を養うことである。その時、私は身震いするような感じがして、ただ強くなればいいと思っていた自分を恥ずかしく思ったのです。今、振り返ってみると、若く柔軟なときに頂いたこの一言が、まさに、私にとって不動の金言になったように思います。
 さて今日、先生の教えに度々救われることがあります。例えば、私も経営者ですから、自社の運営について思うように行かないと、イライラしたり些細なことで怒ったりします。また、たまには、クライアント先でも同じような事があります。そのような時、自分の心に学びの気持ちがあるときは、「これは稽古であり、教えて頂いている」と思い、冷静に対応できて結果も良いのです。逆に、効率とか数字が気になるときには、なかなか気持ちが納まらず、何の解決にもなりません。先生が言われた通り、何事も稽古だと考えると、本質が見えるようになり、対応が適切になるのです。言い換えれば、仮に経営が練習だと考えると、ただ単に売り上げや利益を追求することに走り、内面的な成長や社会との関わりという、経営の本質を見失うことになるのでしょう。
 「経営とは稽古である」。今も、天国から小川安一先生が見守ってくださいます。

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