【Vol.340】「高校三年生の頃」

 ばかげているといわれるかもしれませんが、今、私は高校三年生の頃の身体に戻そうと、いろいろなことをしています。
 毎朝のトレーニングをよりしっかりとすることに加え、食べ物に気を使うようにしています。お酒を抜くことはできないので、せめて食事に気を付けていこうということです。

 なぜ、66歳にもなって50年近くもの年月をさかのぼって高校生の身体に戻そうと思ったのでしょうか。それは、実は身体ではなく精神と言いましょうか、あの頃の気持ちに戻そうと思ったからです。そのために、まずは身体を戻そうとしているのです。「何を青くさいことを」とおっしゃるかもしれませんが、なぜかそう考えたのです。
 何かに悩んでいるわけではありません。仕事がうまくいっていないわけでもありません。おかげさまで仕掛けてきた新しいプロジェクトは進んでいますし、クライアントからのクレームも、目立ってはありません(表に出ていないだけかもしれませんが(笑))。
 そう考えると、自分でもなぜ今、そんなことをしようとしているのかよく分かりません。ただ、言えることは、今だからできることですし、身体が(高校三年時に)戻ったら、きっと何かが起こるだろう――そんな期待があるのです。
 高校三年時の身体のサイズに戻っても、年齢が戻るわけではありませんし、抜けた毛が生えることもシワが消えることもないでしょう。でも、きっと今までとは違う何かが見えたり分かったり……そのようなことが起こるのではないかと思うのです。

 はっきり覚えてはいませんが、あの頃は何を見ても聞いても新鮮でした。知っていることの方がはるかに少ない時期ですから、それは当たり前のことです。
 でも、今はどうでしょう。知っていることが当時よりもはるかに多いからでしょうか、当時のようにワクワクすることや、ドキドキするような気持ちが失せた気がするのです。ワクワク感とドキドキ感が失せるなんて、これからの人生を考えると悲しくなってしまいます。

 くどいようですが、青春時代に戻りたいと言っているのではありません。取りあえず身体だけ、あの時のサイズに戻そうとしているのです。そして、そのようなサイズに戻ったときに、ワクワクしたりドキドキしたりするような、あるいは、そんなことができるような気持ちも戻ったらいいと思っているのです。
 とはいえ、身体のサイズを戻したら気持ちも戻るなんて、そんな簡単なことではないでしょう。でも、私は単純なので、ひょっとしてそうなるのかもしれないな、なんてことも感じているのです。
 日ごろ、開発に一番必要な気持ちはワクワク感とドキドキ感と言っている私ですが、そう言いながら、実はもどかしい気持ちがありました。ですから、もしもそれが戻ったなら、こんなにうれしいことはありません。

 そんな中、一つ決めているのは「あまりガツガツしないこと」です。無理な食事制限の結果で身体を戻しても、それはサイズだけのこと。肝心の気持ちがガツガツしてはシャレになりません。ですから、穏やかに時間をさかのぼるような気持ちでまいります。

 余談ですが、徐々に身体のサイズが締まってきましたので、昔の背広や衣服がまた着られるようになりました。いささか照れくさいこともありますが、それだけでウキウキしてうれしくなっていることは間違いありません。
 あと3cmウエストが締まりますと、ほぼ当時のサイズになります。そうなったとき、私は多分、チョッピリのワクワク感やドキドキ感を取り戻すことができると思っています。

 そして、状況に慣れてその感覚が失せてしまったら、今度はいつの頃に戻しましょうか。
 「あ~あ~あ~あ~あ~ “中学”三年生ぃ~♪」 なんちゃって。