【Vol.329】 青いのがいい

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 最近、青い方がいいのではないかと思うことがありました。「青い」の意味は、青くさいとか青二才などという、あの青のことです。
 青くさいと言うのは、青草のような匂いがするというのが転じて、未熟であるとか世間知らずというように使われます。そして、“二才”は、ボラなどの幼魚からきていて(諸説あります)、いずれも若くて経験の足りない男性をからかうような言葉です。
 どちらも、若い人や未熟な人を揶揄するよくない言葉ですが、私、この「青」が、かえっていいのではないかと思うようになりました。

 およそ二十年、あちこちでビジネス・プロデューサー養成講座やビジネス・アライアンス講座、ビズラボ(新ビジネス創出講座)を続けています。多くの方に受講いただいたこの講座ですが、座学だけではなく、私が発案して提示した開発テーマを、受講生がグループごとに実際のビジネスモデルを創り上げるワークショップが組み込まれた、まさに実践的な開発講座です。
 講座では、開発テーマごとに中間発表と最終発表があり、新しいビジネスモデルが次々に創られるその現場にいる私は、本当に幸せ者としか言いようがありません。そんな幸せ感を二十年も頂戴している訳ですが、ときには、一見、未熟で的外れのような発表を聞くこともあるのです。
 中には、今まで全講座の講師を務めてきた私から見ても「…う~ん」と感じる発表もあるのですが、最近、あることに気付いたのです。それは、未熟で的外れな感じの方が、実は斬新で面白く、意外に良いのです。どのように良いのかと言いますと、それまで聞いたこともない新鮮かつ大胆な内容の企画(ビジネスモデル)ということなのです。
 いわば、青くさい或いは青二才的な発表の方が面白く感じるようになったのです。どちらかと言えば、それは若い人達のグループ発表に多く見える傾向ですが、最近になって特別に受講生が若くなった訳でもないのに、どうしてでしょうか。
 なぜそうなるのか、少し考えました。

 結論は、青い方がよいと、受講生自身もそうですが、私もそのような視点になっているのではないかと思うのです。
 今まで、この講座では、ご承知のように「ノーと言わない」「責任のない開発」をルールと定め、要するに「何でもアリ」の開発を実践してきたのですが、もう一つ、「青いこと」そのものも大事になってきたと思うのです。

 よく考えますと、「ノーと言わない」ことや「責任のない開発」とは、いずれも、自由闊達なアイデアが出せる気楽な場をつくる条件ですが、これは、言い換えれば未熟さや稚拙さがあっても恥ずかしくないということです。
 大人になってから、若い頃を振り返って言うじゃありませんか。「いま考えると恥ずかしいことを平気で言ったもんだ。青かったからなあ…」。それと同じことなのです。恥ずかしいことを真面目に言える、それは青くさいことであり、そしてまた純真であるが故に言えることではないでしょうか。
 果物が未だ熟れていないとき、その多くは青いものです。青いミカンは酸っぱいものですが、たまにそのフレッシュ感が欲しくて食べることがあります。思わずその酸っぱさに顔をしかめてしまいますが、この講座も同じで、何の汚れも既成概念もない青い発表を聞きながら、私は多くの刺激をいただいているのです。

 さあ皆さん、青いのがいいのです。さすがに、私はもう青くはありませんが、気持ちはずっと青で行こうと思います。ケツ(※)、じゃなくて カツ! (笑) 

 ※この馬鹿なシャレ、スミマセン。