【Vol.268】良い筋を束ねると筋肉になる

 最近、メールのやり取りの中で、「良い筋を束ねると太い筋肉になる」と書きました。元々のお話は、事業というものは良い筋(スジ)と悪い筋があって、要するに、素姓の良い人たちと組まないことには、いくら良いテーマでもダメになると、私は常日頃からそう感じていたからです。ですから、事業とは、良い筋の、つまりタチ(質)の良い人達と進めなければいけません。そうすれば、その良い筋の相乗効果によって、あたかも筋が束ねられたようになって、太い筋肉のようになって、力強く物事が進むと表現したかったのです。

 私は、いくつもの悪い筋を見て来ました。せっかくの良いテーマでも、タチの悪い人や、上手く行きそうになると成果を独り占めしようとする、悪い筋の人がいると、いくらテーマが良くてもダメになるのです。

 これは、会社組織でもよくあることでして、多くの社員が真面目でちゃんとしているのに、ほんの一握りでも、タチの悪い社員がいると、その会社はダメになって行くのを、私は知っています。いつか書いた、ガバナンスの本質でもありますが、悪い筋を見逃したり、放っておくと、それがいつしか蔓延し、結果、その会社は悪くなって行くのです。

 という訳で、よい筋を束ねると太い筋肉になると書いたのですが、これが結構受けまして、ある方には名言と言われてしまいました。私としては、意識しないで書いた表現が、これほど評価されたのですから、それは嬉しかったのですが、あらためて、これからの時代には、良い筋の人達が結集する必要があると思いました。

 以前から、私は「フィールド・アライアンス」という言葉を使い、同じような考え方を申し上げては来たのですが、今回の「筋肉」は、力強く事業が進むようになるというところが、一歩踏み出したように感じられます。そして、「良い筋」とは、「善良」ということでもあり、文字通り「筋の通った」ことでして、振れたりしない、キリッとした「いさぎよさ」を感じます。

 話を戻して、どのような事業のことを書いたのかと言いますと、具体的な内容は書けませんが、それまでは縁もゆかりもなかった異分野の事業者同士が、それこそ、タチの良さだけが共通していて、そのタチという価値観でお互いが信頼し合い、結果、事業が力強く進んでいる状態なのです。

 類は友を呼ぶと言いますが、まさに良い筋と筋は共鳴して、そこにまた良い筋が集まって来るという相乗効果が現れるのです。1+1が3になり、3+1が5になり10に成って行くという、良い筋の連鎖反応が出現するのです。

 ここで、筋の良い話の特長は、愉快であることも忘れてはいけません。筋の良い人達は、それぞれが元々は明るい人なので、一緒に仕事をしていて、笑いが絶えないのです。

 いつも、ニコニコしていてワイワイガヤガヤ、とにかく、楽しくてたまらないような感じで仕事が進んで行く、こんなに愉快なことはありません。よく考えれば、ビジネスとはお金儲けの手段でもあるのですから、眉間にシワを寄せ、怖い顔で仕事をする人達が多い中、私達は、何とも楽しくやっているのです。

 そしてきっと、良い筋は健全でもありますから、太い筋肉になった時、少々、負荷が大きくなっても、肉離れや筋肉痛などにはならないとも思うのです。

 一本一本の良い筋が集まって、それが太い筋肉になって力強く仕事が進む。私は、いつも良い筋でありたいと思いますし、常に、筋を鍛えたいと思います。