【Vol.257】成功者の条件

 最近、ある企業の経営者とお話しする中で、成功者の条件が判ったような気がしたのです。そして、この条件とは、この方だけではなく、他の成功されている経営トップの方々と話していても、やはり、ああそうなんだと思う様になったのです。

 条件と言うと、ちょっと大袈裟かもしれません。むしろ、会社なり組織を成功に導く資質あるいは特長、もしくは共通点と言った方がいいのかもしれません。いずれにしても、その事がとても大切だという意味で、条件と言いたいのです。

 では、私が気付いた成功者の条件とは何か、それは、決して他人の所為(せい)にしないという事です。なんだ、そんな単純な事かと言わないでください。これって、勿論、私を含めて、案外、普通の人には出来ない事ではないでしょうか。

 私たちは、何か上手く行かない事があると、その原因について、同じ事が起きないように、反省を込めて検証します。でも、検証と言いながら、実は、自分の責任逃れと、他人への責任転嫁をしている事が多いものです。

 特に、明らかに自分以外の人に起因するような場合は、上手く行かなかった原因を、その人の所為にするものです。これは、悪いことではありません。明確にその責任があるならば、それは当たり前のことですし、よくある事です。しかし、成功しているトップは、殆ど、そのような(場合も含めて)話をしないのです。

 このお話のきっかけになったこのトップ、若い頃、かなりの苦労をされたそうで、ここでは詳細を省きますが、聞いた私も、さぞや大変だったろうなあと思ったくらいです。しかし、このトップは物凄く明るいと言いましょうか、そんなに大変だった事をあっけらかんと、自分の不徳の致すところ、不勉強だっただけと言うのです。

 まあ、ご謙遜と言えばそれまでなんですが、お話の中で、かなり、他の人に起因したトラブルに巻き込まれたり、一肌脱いだつもりが逆に騙されたりしたらしく、聞いている私の方が、かえって憤慨するような話もあるのです。なのに、この方は、それは自分の所為であって、今考えれば、逆に迷惑をお掛けしたほどだと言うのです。そして、あの経験があって今がある、あるいは、あの事で勉強した、というように、とにかく、お陰様だからと言ってニコニコしているのです。

 きっと、腸(はらわた)が煮えくりかえるように嫌な事もあったでしょうし、騙されて悔しい思いをした事もあった筈です。しかし、恨む事は無かったのですかと訊けば、それは全部、自らに起因した事であると言い切るのです。私が、こんな事をされたら黙ってはいない、仇討じゃないけれど、何か仕返ししてやりたいとは思いませんでしたかと水を向けても、笑いながらいやいや自分が悪いのですと、取り合わないのです。

 一体、苦しい時や悔しい思いをした時に、この人は、どうやって自分の気持ちを鎮め、そして、立ち直る為に、どうやって気持ちを切り替えるのか、私は不思議でなりませんでした。しかし、何回か、この様なお話を聞きながら、ひょっとして、一切、他人の所為にしないという事自体が、実は、成功の条件になっているのではないかと思うようになったのです。

 考えてみれば、そのような時に、他人の所為にしたところで何の解決にもなりません。嘆いたところで、誰も助けてはくれません。むしろ、自らの胸の内にマイナス要因を飲み込んで、自らのチカラで立ち直る為には何が必要かを考える、その方が良いに決まっています。成功している経営者は、誰もがこのようにして危機を乗り越え、そしてまた、その危機を自分の肥やしにしてしまうパワーがあるのではないかと思うのです。

 如何でしょうか、皆さん。成功者の条件は、他人の所為にしないことです。そうしてみると、私たちを取り巻くイヤな事や揉め事の当事者は、他人の所為にしてばかりしているような、そんな人達の世界だとも見えて来るのです。

 ですから、もうそんな人達と付き合うのは止め、つまらない事も忘れましょう。そして今、自分で出来る事をやりましょう。そうして、私たち一人一人がそういう気持ちになって前向きになれば、この閉塞感もフッきれて、少しは明るい世の中になるのではないでしょうか。

 …それにしても、この国の政治家はヒドイですよね。

 えっ、そう言いながら他人の所為にしているって? あっそうか、いけないいけない、冗談ですよ、冗談。失礼しました!