【Vol.191】地産都消

 地産地消(ちさんちしょう)といって、地域で生産した食品などを、その地域で消費しようという動きが活発です。今回は、その地産地消について考えてみました。

 ご縁があり、ある離れ小島でご馳走になったときのことです。会食の御膳は、今が旬のものばかり。メチャ旬のアジはタタキとフライ、とにかく美味しいのです。極め付きは、(東京で食べる時は、あまりに高価なので、清水の舞台から飛び降りる覚悟で食べる)イワガキ、もうたまりません。加えて、タイやアワビや何とか貝(地元ではいっぱい取れる色々な貝で、名前が覚えきれませんでした)が次々に出て、とにかくパニック状態になってしまいました。
 失礼とは思いながら、値段も聞きました(皆さん「こんなの安いんですよ」と言われるので)が、その安いこと安いこと。アジは1キロウン十円、タイも同じくらいで、アワビもイワガキも1個(下のほうの)ウン百円…。思わず、きっと皆さん毎日食べておられるのでしょうね、と言って直ぐに、バカな質問だと気付いたのですが時遅く、「もう、飽きていますから」。ハハハ…、とチカラなく笑ってごまかしても、皆さんの目は、「こんなものに、どうしてそんなに喜んでいるのか」と言っています。

 話が進んでお米の話になりました。海の幸が豊富ならば、山の幸も同じこと、美味しい野菜とお米も自慢だそうですが、なにせ島内消費だけでは余ってしまい、他所に出していると聞き、改めて考えました。そうです、この島では、農作物や海産物は豊富なのに、それを食べる人、つまり消費者が少ないのです。
 さて、地産地消とは、地域生産地域消費の略語で、地域で生産された農作物や海産物(加工食品も含む)を、生産したその地域で消費することだそうです。しかし、この離島では地域生産品にはあまり興味がない(のか、飽きちゃったのか)ようで、地域消費がはかどらず、地産地消が成り立たない状態です。地元では、集まっては地産地消をどうするかという議論を、頻繁にしているようですが、どうも、これという名案は無いようです。
 厳しいかもしれませんが、率直に言わせていただくならば、それはかなり難しい問題です。なぜかと言うと、この地域には肝心のお客様が居ないからです。居ないと断言すると怒られるかもしれませんが、少ないのは事実で、どうしたって少子高齢化社会の現実から逃れることはできません。ひっそりとした町並みや商店街を見るにつけ、この地域に旺盛な消費パワーがあるとは思えません。
 地産地消、消費者がその地域に居ればいいのですが、居ない時、地産はできても、地消は成り立ちません。そうならば、地域内で消費者が居ない(少ない)なら、地域内にこだわる必要はありません。

 当り前ですが、流通とは財貨が移動することです。つまり、製品や商品を顧客に届けることです。地域で生産した財貨を、消費者の居るところに届けることが肝心です。
 それならば皆さん、これからは地産地消ではなく、地産して都会で消費する、地産都消と言い換えてみませんか。そうすれば、全国各地の美味しいものが、自ずと都市部に流通するようになると思うのです。
 地産都消、一番嬉しいのは私です。だって、都消なら、何と言っても東京が一番、それだけ、美味しいものが集まって来るのですからね。ウヒヒヒ。