【Vol.173】兼業のすすめ

 兼業はダメ、という会社が殆どです。でも、勤務時間以外、或いは休日ならOKの会社もあります。兼業すると本業に悪影響を及ぼす恐れがあると心配なのかもしれませんが、本当に兼業はマイナスなのでしょうか。今回は兼業について考えてみました。
 以前、本業は都銀の支店長なのに歌手として活躍しておられた方がおりました。それも、作詞作曲でミリオンセラーを連発し、並みの流行歌手とは違うミュージシャンです。今は銀行は辞めて専業(?)ですが、悠々自適、ステージも創作もマイペースで活動されているようです。歴史に残る大ヒットナンバーを持つその方は、もうミュージシャンを通り過ぎてアーティスト、それこそ国民栄誉賞的な存在です。
 ところで、この方が現役、つまり銀行マンだった時、誰が「兼業批判」をしたでしょうか。明らかに兼業していたのに、です。

 そもそも、兼業が良いのか悪いのか、どこがどう、或いはどのような一線で決まるのでしょうか。こう言うと、「それは本業を疎かにしているかどうかで決まる」と、言われる方が多いと思うのですが、では、疎かにしているかどうかは、どう決めるのでしょう。どうも、そこの部分では決まらないようです。だって、本業だけをやっている「専業ビジネスマン」でもダメな方もいますよね。では、本業が「主」で、兼業が「従」の関係があればよいという意見もあろうかと思いますが、これも、先の銀行マンの事例は、どっちも素晴らしいのですから、当たりません。むしろ、ミュージシャンとしての活動の方が世間的には認知度も高く、経済的にも多くの波及効果があったように思います。そうしてみると、複数の仕事をすることに、重・軽なのか、主・従なのか、という議論自体が意味の無いことのようです。

 私事で言わせてもらうと、私は現在40数社の兼業顧問です。クライアントの数だけ兼業先がある訳です。兼業状態が、もう37年も続いているのですが、どこが本業か、なんて考えたことは一度もありません。どこも全力投球ですし、そういう意味では全部、本業です。
 申し上げたいことは、兼業というのは、実は、良いことではないかと思うのです。もしも兼業に絡んで悪い結果を招いたとすれば、それは本業も上手くいっていなかったのでは、ということです。
 そう言えば、先の銀行マン(ミュージシャン? もう、どちらでもいいのですが)が言われました。「自分は、違う世界の方とお付き合いすることで、創作意欲が湧くのです」。それはそうです。すごく分かる話です。違う世界の方だからこそ、異なる技術やアイデア、ノウハウを教えてくれるのですし、刺激を受けるのです。
  私も、毎日、日替わりで異分野のクライアントに接しているからこそ、勉強もさせて頂けるし、結果、アイデアも出るようになったのです。
いつも言いますが、新しいこととは、異なること、今までとは違うこと、なのです。

 如何でしょうか皆さん、セカンド・ライフに会社ぐるみで取り組む時代、兼業なんて当り前です。兼業することは悪いことではありませんし、むしろ、新しい情報に触れる、絶好の機会なのです。

これからは、兼業の時代です。