【Vol.149】上書き・消去ビジネスの時代

 新しい事業、もっと言えば新しいビジネスモデルをどうしようという中で、つくづく凄い時代だと思うことがあります。簡単に事業を起こせる時代でもあり、あっさり外されることもある。丁度、上書きしたり消去するような感覚でビジネスの興亡が決まるのです。そんな、上書き・消去ビジネスの時代について考えました。

 情報化の時代は劇的なスピードで進み、情報ネットワークがあらゆる分野に張り巡らされました。それも光の速さで繋がっているのですから、もはやリアルタイムでビジネスが繋がります。情報ネットワークとは、別の言い方をすれば光の速さで合従連衡が繰り返されるシステムでもあるのです。
 最近、こんなことに気付きました。ある会社が持つ基幹システムの変更に伴う、新しい事業企画を考えている時のことです。そのシステムの受け付け画面に、新しい事業に関するアイコンを表示するかしないかで、実は新しい事業が始まるか始まらないかが決まるということを、です。
 企画スタッフは、当り前のことと、誰も気に止める様子はありません。しかし、私は背中が寒くなるくらいにビビッとしたのです。大きな事業が始まるかどうかが、受付画面にそのメニューが表示されるかどうかで決まる。こんな重大事を目の前に、私たちは顔色一つ変えずにいるのです。

 逆に、他所の基幹システムの受付表示画面に私たちの事業のアイコンを表示したら、(ちゃんとシステムが繋がっていれば)そのときから新しい事業が別の事業者と一緒に始めることができるのです。言うなれば、上書きする感覚で新しい事業が始まる時代。本当に凄い時代になったのです。
 しかし、終わりも簡単。いやになれば、表示を消すだけ。消される立場で想像するとゾッとしますが、要は消去されただけなんです。

 では、このような上書き・消去でビジネスが決まる時代において、本当に大切なこととは何でしょうか。
それは、コンテンツです。
ここで言うコンテンツとは事業の中身、もっと言えば事業そのものの価値です。いくら上書きや消去が簡単に操作できても、価値のあるコンテンツを創ることや、そこに価値のある上書きをするには知恵が必要です。また、消去すると自らの利益も失われるとしたら、そう簡単に消去されることはありません。ですから、これからの上書き・消去ビジネスの時代ではコンテンツの重要性が益々高くなっていくのです。

 皆さん如何でしょうか。簡単にコンテンツの時代と言いますが、その本質とは、上書き・消去ビジネスという時代背景があることを認識しなければいけません。

 さて、チョッと気になることがあります。たまに家に居る時、娘たちの会話に入ろうとすると、「パパ消去!」と言われてしまうことがあるのですが、これって、私のコンテンツがつまらないからですかね…。あ~あ。