【Vol.136】逆・猫に小判

 何が困るといって、スゴイのか凄くないのか、それが判らないのが一番厄介です。
 新しい技術についてヒアリングをしていた時です。イントロを聞いただけで、凄いことを考えたもんだと、私は興奮気味でした。でも、周りの方々はちっとも乗っていないのです。ウンともスンとも反応しません。冷めたまんまなんです。

 その技術は、以前、私が手掛けたこともある、環境に関係する技術です。かなりハードルの高い課題を解決する為の技術なんですが、私たちは解決できずに途中であきらめてしまったものです。だから判る、とも言えますが、それにしても誰も発想しないような構造の、正に大発明です。なのに、この白けた空気は何なんだ…。
 説明しました。この技術のどこがどう凄くて、結果、これからどうなる、という説明です。説明しながら、彼らの顔が変わっていきます。理解したのでしょう。冷めた表情が段々熱くなっていくのが分かります。目も輝き、発明者に対する眼差しにも、尊敬の気持ちさえ入っているようです。

 やっと、その場の雰囲気に活気がもどり、安心したのと同時に、少し考えてしまいました。
 案外、このようなことは多くて、誰にも評価されずに消えていく技術や商品などが、スゴイ数に上るのではないかと心配になったのです。よく、猫に小判、豚に真珠と言いますが、貴重なものを与えても何の反応も無いことの例えです。しかし、このようなケースは、その貴重なものが、なかなか分かり難いという意味では逆で、言うなれば「逆・猫に小判」状態かと思われます。本当は凄いのに、控え目あるいは謙遜し過ぎて伝わらないことは結構ありますが、貴重かどうか、そのものが判らないのが一番困ります。

 自分で言うのもなんですが、このように、的確な価値の判断ができることを「目利き」というのかも知れません。目利きが増えれば、このような「逆・猫に小判」は少なくなりますし、それだけ潜在的な素晴らしい知的財産を掘り起こすことに繋がります。

 皆さん如何でしょうか。それが本当に価値あるものかそうでないか。それが判らないような技術や製品があったとき、先ずはご連絡ください。必ず参りますよ。小さな範囲でしか活動していない私たちでも、このようなケースにぶち当たるのですから、皆さんと一緒に見て廻れば、必ず大きな成果を生み出せます。
 さあ、逆・猫に小判を探しましょう。

 おっと、早速電話です。何々、永久機関の発明? ダメダメ、そんなのはダメですよ!