【Vol.125】『場』のビジネス

 新事業・新商品の開発をしている中で、最近、本当に便利になったものだと思うことがあります。
 例えば、GPS(global positioning system)などはその最たるものかも知れません。カーナビで知られているこのシステムは、端末を持った者の位置をリアルタイムで特定できるスグレモノです。このGPSを利用した新事業を考えている人は多く、最近では予め指定したお店や施設に近づくと、端末が自動的に知らせるシステムも登場しています。
私のカーナビも、頼みもしないのに、街中で少々スピードダウンして走行する度に、自動的に周辺の駐車場が表示されるようになっています。加えて、音声での案内もしてくれるので、まあ、便利は便利ですがやかましいと思うこともあります。

 ところで、このように「居場所」が分かるということでビジネスを活性化しようとする方が増えてはいるのですが、「場」そのものでビジネスをしようとしている方は未だ少ないようです。「場」のビジネスが、ある意味でこれからの日本型の新しいビジネスモデルになるような気がするので、今回はそのご提案をしようと思います。

 「場そのものでのビジネス」とはどんな事か、その説明が必要です。
 GPSは、端末を持つとその居場所が分かるというシステムで、エリアを設定しておけば、そのエリアに入ってきたことが分かります。つまり、電子化した地図上(地理情報と言います)に、これまた電子化した地域情報(エリア)を設定しているのです。当り前ですが、そのことをディスプレーに表示しようとすれば簡単に出来る訳ですが、目の前の実際の風景には線引きも何も見えません。見えないのに、実は地域が決められている。そう、「バーチャル地域」なんです。

 このバーチャル地域には所有権はありません。地権者がいないということは、誰にでも自由に地域の設定が出来るということで、使わない手はありません。そこでビジネスを展開すれば、ビジネスの場を持つということになるのです。
例えばこんなビジネスはどうでしょうか。
町の中のある地域を設定しておいて、その中にいる人だけにバーゲンセールの案内をするのです。かけて来た携帯電話のエリアは分かりますから、その人にだけ優先的に安売りの案内をすれば、特定した地域にいつも人が集まるようになりますし、バーゲンをしないお店にも人が集まるようになるのはないでしょうか。

 このように、携帯電話やGPS端末を持つ人に対して、こちら(主催者側)がビジネスを活性化したいエリアに誘導すれば、文字通りの町おこしになりますし、「地域性」なんて関係ありません。
 都会でもそうでなくても、自らがビジネスの場を設定して、実際のビジネスを作って行く。それがこれからの日本型ビジネスモデルだと思うのですが、皆さん如何でしょうか。