【Vol.89】「格差是正」の是正

 皆さん、知っていましたか?国の中小企業支援施策の基本コンセプトが「格差是正」だったんですって。
 いつも感じていた事ですが、中小企業の開発を支援するイベントやセミナーに呼ばれて出かけていくと、いわゆる経営に困った中小企業が大勢お見えになります。少々厳しい言い方ですが、開発はヒト・モノ・カネが無いと出来ないわけですから、現状の経営に困った方々は、とりあえず現業を整理して体制を建て直してからでないと、実のある開発には注力は出来ません。重ねて言えば現業がある程度しっかりしていないと開発などに手を出してはいけません。ですから、私達がお手伝い企業の多くは、その意味で「第二創業」的な位置付けで開発に取組んでいるわけで、外から見ると本業はしっかりしている企業なのです。

 冒頭の「格差是正」とは、主催者のお役所の方に、上記のようなお話をしたら出てきた言葉でした。
 格差是正。言葉の意味は「標準に対する差」を是正、即ち「悪い事として改めて正す」ことです。中小企業の経営格差をなくすためには、経営状態の悪い企業を優先的に助けて、標準に近づける大切だというのです。先ず、標準より下の企業を元に戻すのですから、開発ができるような体制以前の問題なのです。

 誤解を恐れずに言えば、格差是正の本質は病気の人間を治してあげるようなものです。そして、やっと元の普通の状態になった人にいきなりスポーツをやれと言っているようなものです。スポーツをするなら先ず体力が必要です。開発も同じで、企業の体力が必要です。そして、その中でも特に優れた企業が、一つ抜きん出た成果を出すのではないでしょうか。

 繰り返しますが、格差是正は開発の支援には不用です。むしろ、してはいけないことかも知れません。ではどうすれば良いのでしょうか。
 それは「選択的支援」です。鍛えれば確実な成果を上げることができる企業を選択し、その上でしっかりと支援する。そのように選別する事が大切なのです。
 そう考えると、私達システム・インテグレーションのクライアントになって頂く企業は、基本的には本業がしっかりとしているのは当然とも言えるでしょう。だからこそ私達の提案やビジネス・プロデュースに対して機敏に反応し、着実な成果を上げることができるのです。

 これから、中小企業に対しては選択的な支援をしなければいけません。
 格差是正の是正が、今、一番に求められています。