【Vol.87】相手を確かめない挨拶

 変な事にこだわるかも知れませんが、やはり変だと思うのです。
 「お早うございます、いつもお世話になります。○○(会社名)の○○(個人名)でございます。」そのように、電話に出る方が多いのです。きっと、上司にそうしなさいと言われていると思うのですが、何か違和感があるのです。素朴な疑問として、相手が誰か分からないのに愛想良く電話に出る必要があるのでしょうか。勿論、無愛想や慇懃無礼な対応は良くないのに決まっていますが、必要以上に媚びているようにしか聞こえないのです。そして、相手が関係の無い人だったり、何かの勧誘電話や売り込みの電話だと分かった途端に、ビックリするくらいに豹変してガチャンッ。その人の品性がそこに出てしまったりします。

 私が言いたいのは、電話に出るときには普通に自社名を言い、相手の名前(名乗らない時には聞く)
と用件を聞き、その用事に対して自然に対応すれば良いと思うのです。こちらが初めてなのに、「いつもお世話になります。」と言われると、「あれっ、いつか来た事があったのだろうか」、あるいは「自分以外の社員が、自分の知らない時にお世話になっていたのか」と、心配になったりします。
 要は、相手の顔が見えないときの挨拶は、普通で良いのではないかということです。必要以上に丁寧な挨拶は、誰もが嬉しいと思って欲しくありません。もっと穿った見方をすれば、「丁寧な挨拶をしておけば、会社を良く見てくれるだろう」という、気持ちが見え隠れするのです。
 どうも、商品を売るような企業や営業部門に、このような電話対応が多いように思います。「買ってくれてナンボの世界」かも知れませんが、買わないと分かった途端に態度が変わるのは、不自然というより不愉快です。

 挨拶とは、人と人が会う時に交わすものです。電話では音声ですが、相手が誰か特定できた時は、会ったのと同じ状況ですから、しっかりと相手と自分の関係に応じた挨拶を交わす。それが自然だし、本当の挨拶だと思うのです。深いお付き合いの人、浅いお付き合いの人、イヤイヤの付き合いの人、其々に見合う挨拶があって、本当の挨拶だと思うのです。きっと、それが面倒だから、とりあえず最高レベルの挨拶をしておけ。そんな事なんでしょう。
 誰にも同じように、すごく丁寧に電話を取る会社、貴方はどう思われますか。

追伸:この間、道を聞こうと入ったガソリンスタンド。深々とお辞儀をしてくれました。道を尋ねに来たと分かった途端、「知らねぇー。」あ~ぁ、やはりカーナビが無い車には乗らないことです。