【Vol.37】ITビジネスの本質

 経済雑誌を見ていたら、「ネットバブル」「ITビジネスの崩壊」といった見出しが躍っています。
 まあ、私が感じていた素朴な疑問、「なぜITだけで儲かるのか」と思っていた矢先なので、「やっぱりそうなんだ」と、頷いてしまいました。
 だって、皆さんもそう思いませんか? 大体、「情報通信技術」なんてただの道具です。昔、電話が発明されたころの驚き(勿論、私の生まれるはるか昔のことですが)や、与えた影響の大きさと比べたら、別に世の中が変わる訳でもあるまいに…、と思うでしょう。

 要するに、今もてはやされているITは、コミュニケーションの道具に過ぎないのですが、誰でも簡単にしかも便利になると早合点した挙句に、「IT革命」などと言う人も現れて、千載一遇のビジネスチャンスに巡り会えたと、皆が過大にのめり込んだということです。コミュニケーションの道具とは、つまり情報の共有化を進め、なるべく多くの人に、同時一斉に同じ情報を知らせる道具であると言うことです。
 「皆が知るところ」にビジネスチャンスが在る訳がありません。儲かる訳を、知らない人が多いほど、有利になるのがビジネスの肝心なところです。皆が知っている事に感動する訳は無く、従ってビジネスになる話などありません。 
 また、ネットビジネスやITビジネスを標榜している多くの方々に、「汗のニオイ」が感じられないのも問題です。汗を流さずに成功するビジネスが在る訳はありません。それで上手くいくのなら、労せずに儲けようという人だらけの国になってしまいます。

 そんなことを考えていると、「汗」を一番かいている業界は製造業かも知れません。汗を流して作り上げた商品を、使って欲しい顧客に、分かり易く素早く伝える。その道具として、ITがある。
 そうなると、製造業が一番、ITビジネスに相応しいのかも知れませんね。