【Vol.35】避(よ)けない若者

 最近、道を歩いていると、避(よ)けない若者が増えていることに気付きました。駅など混雑しているところで、このまま行けば間違いなくぶつかるという時、こちらをハッキリと認識している(そう思われる)のに、避けないのです。
 ぶつかると判っていれば、こちらが避ければいいのでしょう。でも、何か釈然としません。そう、以前はどちらからともなく、お互いにニアミスを避けるように、自然と避けていたように思うのです。

 いつからこうなったのか、よく判りません。しかし、そんなに急ぐような感じもしないのに、わが道を真っ直ぐに進む、最短距離を脇目も振らずに早足で歩く若者を見ると、何か虚しいような気さえするのです。
 こんな事を考えていたら、ふっと、そう言えば今時、そんな企業が増えていることにも気付きました。新事業を立ち上げるときや、新たに参入するようなとき、とにかく、周囲の事情にはお構いなしに、自己中心で邁進するような企業です。
 多くはコストを下げることに固執する「価格破壊型」ですが、もっと性質の悪いのは「秩序破壊型」でしょう。従来より、綿々と築き上げられた、その業界なり業種なりの収益構造を、顧客の利益を優先させると言って、黙っていればいい情報もバラして、周辺で営業していた企業を抹殺してしまうのです。暫くすると、コストのことなら任せておけと言わんばかりに低コストの海外企業が上陸し、結局、その企業もいつかは収益が悪化して衰退してゆくのです。
 一体、いつまでやれば気が付くのでしょう。

 先達がいれば、その道と違うところを行く。それが、新しい、本当の新事業・新商品開発の基本だと思うのですが、皆さんはどう考えますか。