【Vol.19】接待アレルギー

 最近、お役所の方とお酒を飲むのもやっかいになりました。私が関係している会合でのパーティーの席でした。中締めの後、「こうして、立食ならいいんです」。来賓としてお越しいただいた、いつもお世話になっているお役所の方が言われたのです。
 何のことかと聞き返すと、「通達では立食では接待にはならないのだそうです」。当のご本人も、納得が行かない様子で苦笑いです。いわゆる汚職が後を絶たないとのことで、厳しく、接待に関するお達しが出ているとのことです。へー、お役所の方も相当に神経を遣っているのだなと、変に感心したのと同時に、これが「見返りを求めている、接待パーティー」などと考える由も無い当方としても、少し複雑な気がいたしました。

 どうして、そんなことになってしまうのか、考えました。以下、順番に並べます。
[1]お役所依存の業者が悪い。
[2]お役所の給料が安いから。
[3]マスコミがヒマだから。
[4] から[8]飛ばして、
[9]接待されない、つまり誰も相手にしない奴がやっかみでチクるから。
[10]役人を誉める仕組みがないから。

 いささか解説をいたしますと、
[1]は当たり前のことですが、[2]は深刻です。大きな権限を持ち、需要な決定をするポストにいる人と、そうでない人とが一緒では、「魔が差す」こともあるでしょう。ここは大いに差を付けて、権限と責任の軽重をはっきりすべきです。
 そして、 [10]について、特に申し上げたいのです。要は信賞必罰と言うことなのですが、実は、役所には良い仕事をした役人を誉める仕組みがありません。良い仕事をしたときに、ドッカーンと昇給や昇進をしてあげればよいのです。逆に不実な仕事ができないように、責任をきちんと重くする。
 今の仕組みでは、些細な、特に業者との付き合いに関することなど、何でも汚点になってしまうのです。しかも、挽回のチャンスはありません。ですから、「アツモノニコリテナマスヲフク」人たちが増えるのです。

 いつも申し上げるように、これからの日本は文字通り「産・学・官」で乗り越えないと大変なことになってしまいます。一度は羹(あつもの)に懲りたとしても、敢えて、本質的に「熱い関係」で連携して行かないと、ダメだと思うのですが…。