【Vol.3】クライアント先での誕生祝い

 定例の開発会議が終わったと思っていたら、試作機を見て欲しいとのこと、そのまま現場に案内され、しばらく見学となりました。思いの外、素晴らしい性能の機械で、それはそれで良かったのですが、会議室に戻って来て驚かされました。テーブルの上にバースデイケーキがあるのです。拍手と「誕生日おめでとう」の言葉に包まれ、ありきたりのお礼を言うのが精一杯です。どうやら、ご担当の方が私を外に連れ出している間に、慌ただしく支度をしてくれたのでしょう、思わずジワッとなりました。「こんなことしかできなくて…」と言う皆さんの顔を見て、またジワッ。もう、何も言えなくなりました。知るはずもないのにと言うと、「まあ、いいじゃないですか」。ご担当の眼が悪戯っぽく笑っています。きっと、うちの社員が何かのついでに言ったのを、ご担当、上司の方々、皆さんが忘れずにいてくれたのです。
 日頃、クライアント先での仕事は、当たり前ですが、新事業・新商品開発をどうするか、という事に尽きます。毎日毎日、クライアントへ出向き、開発に明け暮れる自分にとって、誕生日そのものを忘れてしまうこともあるのに…。そう思うと、私はとんでもないシアワセモノです。
 言うまでもなく、クライアントとの信頼関係はコミュニケーションが大切です。そして、プライベートな話題が潤滑油なのです。仕事を進める上で、気さくな関係が重要であるのは言うまでもありませんが、このような形で実践してくれたクライアントと社員。
 48歳の誕生祝いはクライアント先での会議室。私にとって一生忘れられない、とても素敵なパーティーでした。